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star01e.gif 鎮咳剤 安眠できぬ時、少量使用star01e.gif

 

  

  

 鎮咳(ちんがい)剤は咳を鎮める薬、咳止めのことである。

気管支やのどの粘膜では細かい異物が粘膜を傷つけないように、表面にある粘液が守っている。また粘膜の細胞の表面には細かいひげのようなものがあって、外に向かって常にたなびき、外へ送りだしている。インフルエンザウイルスやかぜのウイルスは、この粘液を溶かして細胞内に進入し、細胞の中で増殖して出てくる。身体の方は、ウイルスが住みついた細胞を壊してウイルスをやっつけようとして炎症反応を起こす。細菌が感染すると、菌を排除しようとして炎症が起こる。喘息の出始めも、アレルギー反応で気管支が過敏になりコンコンという咳がでる。しばらくするとゼーゼーというようになる。

 喉の奥(咽頭)から喉頭、気管、気管支など息の通り道に、空気中の異物や炎症反応で生じた分泌物(痰)など異物が存在するときに咳が起きる。このような異物をを外へ排除しようとして、急速に空気を吐きだそうとする身体に備わった正常な防御反応の一つである。

 鎮咳剤は、このような刺激を受け取る脳での反応を鈍らせることによって咳を起こしにくくする。

 だから、この反応を完全に止めてしまうと、異物が排除されるのを妨害する。そして、痰が溜まっていまったり、異物が溜まってしまい、かえって不都合なことになるので、咳を過剰に止めることはよくない。

 しかし、アレルギーなどのように排除不可能なものの場合には、強い咳が続くことは体力の消耗になり、また不眠の原因となり、咳の反射で過敏になった気管支や喉頭の粘膜がよけいに腫れてきたりする。

 これもまた不都合であり、咳を鎮めておいた方が、全体としては異物の排除がスムーズで呼吸も楽になることがある。

 鎮咳剤を使うことはあくまで対症療法だ。あまり激しくて睡眠が妨害されるような場合に少し鎮める程度にしておくのがよい。

日経新聞1999年12月27日付改編

 

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