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star01e.gif 薬害 経済的要素と密接に関係star01e.gif

 

  

  

 薬は毒でもある。薬が持つ多くの性質のうち人に役立つのは一部だ。使用する前に徹底的にその性質を調べ、害より有益な働きが上回ることを確認する。確認が不十分だったり、意図的に見過ごされたりすると市販後に大きな害「薬害」が現れる。使い方次第で毒になる薬を医療現場で誤って使って生じた被害も薬害の一種といえる。

 薬害のうち、防止できるのに防止できなかったものを「薬害事件」と呼ぶ。

 1961年に判明したサリドマイド事件は世界各国で起きた。整腸剤キノホルムによる中毒症スモン、クロロキン網膜症や筋肉注射による筋短縮症など世界でもまれにみる薬害が日本で多発し、70年に入って次々に明るみにでた。

 その反省もつかの間、83年に血液製剤による薬害エイズ事件、93年には市販後1カ月で15人も死亡者を出したソリブジン事件が起きた。乾燥硬膜によるクロイツフェルトヤコブ病も薬害事件の一種と言える。これら薬害事件の被害者数は、数百人から数千人、時に万余にのぼる。

 医療の品質は、危険なもの、効かないものをいかに排除できているかにかかっている。使い方次第で害が生じうるものの害をいかに少なく、効果的に、医療現場で使用できているかどうかにもかかっている。

 薬害発生には、薬の品質評価と薬価も密接に関係する。拙著「薬害はなぜなくならないか」(日本評論社)に詳しく述べた。薬害は薬の品質評価や薬価など経済的要素と密接に関係している。

日経新聞2000年2月7日付改編

 

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