インフルエンザ治療用の薬剤「タミフル」は、処方直後に患者の容体が急変した後に死亡する危険性が高いとして、当医薬ビジランスセンターは12月21日、タミフルの使用中止などを求める要望書を小宮山厚生労働大臣に提出しました。
要望書では、2009~2010年に流行した「新型インフルエンザ」で死亡した全患者198人の病状や処方状況を、厚労省が公表したデータを元にして、オーストラリアの統計学者(マーク・ジョーンズ博士)らとともに分析した論文(英語論文、日本語全訳、英語版正誤表)のデータなどを引用して、その理由を述べました。
今回の疫学研究の結果では、タミフル処方後に119人が死亡し、このうち38人は処方後12時間以内に容体が急変していましたが、別の抗ウイルス剤「リレンザ」では、投薬後に容体が急変した例はなく、抗ウイルス剤が処方されなかった場合には1人だけでした。死亡率で比較しても、リレンザ処方者や、抗ウイルス剤なしよりタミフルは、少なくとも6倍~13倍危険度が高まることが示されました。
そのため、これまでにも増して、タミフルによる突然死との因果関係はより確実になったと考えられたため、厚生労働大臣に対して、タミフルの害・突然死や異常行動との因果関係について、評価を見直すよう、また、タミフル使用の中止を求める要望書を12月21日提出しました。
要望内容は
です。
改めて中止を要望したのは、異常行動やせん妄、意識障害との関連を示す複数の疫学研究(藤田らによる疫学研究論文、薬のチェックによる解説)や、メーカーが実施した動物実験の結果(TIP誌2011年7月号、第43回日本小児感染症学会発表スライド参照)に加えて、それらの結果と一致するタミフルと突然型死亡との関連を強く示す疫学研究の結果(英語論文)が得られたからです。