HPVワクチン(いわゆる「子宮頸がん予防ワクチン」)の害について、2月25日午後、国際シンポジウムが開催され、約150人が参加しました。主催は、子宮頸がんワクチンの重篤副反応に関し警鐘を鳴らす医学者・研究者のグループ(会長; 堺春美 前東海大学医学部教授)。
シンポジウムでは、具体的な害の実態、発症機序、疫学的な関連の事実などを内外の医師、医学者がそれぞれの専門分野から発表し、接種による効果は不明であり、その害は許容できないために接種を中止すべきであると訴えました。当センターから浜が、シンポジストの一人として講演し、討論や、記者会見にも参加しました。
厚生労働省(厚労省)のワクチン副反応検討部会と安全対策調査会合同部会(以下、専門合同部会と略)は、1月20日、注射時の痛みが患者に不安を引き起こし、このために「心身の反応」が起きるのだと結論付け、勧奨接種の再開が2月26日にも決定されそうな動きがあったため、接種の危険性を訴えるために、このシンポジウムが企画されました。
シン・ハン・リー博士(米国、病理学者)は、HPVワクチンの一つ「ガーダシル」の未開封バイアル中や、ガーダシル接種後に突然死した少女の血液と脾臓中にHPVウイルスDNAの断片を認めたことを報告しました。厚労省の「心身の反応」説に対して、「気の持ち方だけで、脳の中に失明や激烈な神経障害を起こすほどの強い炎症反応を起こすことはない」と、病理学者の立場から強い口調で批判しました。
フランソワ・ジェローム・オーチエ教授(パリ大神経筋疾患部門医師)は、ワクチンを注射すると筋肉内で白血球の一種「マクロファージ」が、異物であるアルミニウムを取り込み、注射局所で炎症反応を起こして痛みの原因になるとともに、全身でもこの反応を起こして痛みの原因となり、脳内でも炎症を起こして認知障害や知的な障害、広範な神経障害の原因になると説明。接種後数年以降の長期間経過後の悪化例が多く、今後も増加することを警告しました。
ルチア・トムルジェノビック博士(カナダのブリティッシュ・コロンビア大学、現在イスラエル、テルアビブ大学医学部)は、HPVワクチン接種後に急死した3人の少女の脳を調べ、脳の中でワクチンのウイルス様粒子タンパクに反応する抗体や、出血も見つけたことから、ワクチンが原因としました。
堺春美会長は、ずっとワクチンに関わってきた専門家の立場から、報告されているHPVワクチンの副反応例を自らデータベースを作って分析し、あまりの激烈さと多様さに驚いたこと、結果は、これまでのワクチンとは比較にならないくらい重篤で様相が異なっていること、ワクチンは対象とする疾患を予防しなければならないが、このワクチンは子宮頸がんを予防したとの報告はなく、人類がこれまでに経験したことがないほどの害をもたらすこと、したがって中止すべきであり、これまでに接種した全員の追跡調査をすべきである、と述べました。
当センターの浜は、国が安全との根拠にしている毒性実験(メーカーの実験や中山氏の実験)でも、長期の毒性が示されていること、厚労省が安全証明の根拠としている臨床試験や疫学調査の結果は解釈が間違っていること、一般人口と比較して自己免疫疾患が数倍から15倍に上ること、接種後3.5年以降には害が極端に増加していることなどから、今後ますます害が重大になりうることを警告しました。詳しくは、講演スライド、要旨、English abstractを参照してください。
塩沢俊一教授(九州大学、リウマチ膠原病学)は、「自己免疫現象は、自己を攻撃対象として起きているのではなく、正常者で起きる反応である。ただし、ある臨界点以上の非常に強い刺激が持続することで起きる」という画期的な研究結果「自己臨界点説」を述べました。いわゆる「自己免疫現象」の発症機序としてのこの説は、HPVワクチン注射後の組織傷害-疼痛刺激が極めて強く、自己免疫疾患が多発する現象をよく説明しているものであり、非常に意義のある講演でした。
シンポジウム後の記者会見では、かなり前からすでに判明しているこのような研究の成果が、なぜ国レベルでの政策に反映されないのか、との質問がありました。これには浜から、「日本の厚労省はすべて把握したうえで、接種再開に都合の悪いこれらの研究結果を意図的に否定し、その否定の根拠として、根拠にならない質の悪いデータを提示し、意図的に無理なデータ解釈を行なっている。そのために一般に知られないのだ」と答えました。
また、ルチア・トムルジェノビック博士がメディアの質問に答えて述べた「被害は世界中で起きている。すべての国で接種を即刻中止すべきだ」との意見は、シンポジスト全員の意見でありました。
なお、このシンポジウムが開催され、これらの成果を人々が知ったため、翌日の厚労省主催の公聴会では、海外の研究者の意見に対して、多数の政府側研究者から根拠のない反論があり、午後からの合同検討会には、さらに、因果関係を否定する厚労省側の意見に偏った報告がされました。しかしながら、2月26日の内容では接種勧奨の再開を決める根拠に乏しく、なお保留となっています。
また、2月28日の毎日新聞は、厚労省研究班の班長がワクチンの成分による脳内炎症誘発の可能性を認める発言と、研究班の2014年度の調査実施を、以下のように報じています(毎日新聞 2月28日(金)3時0分配信)
「子宮頸(けい)がんワクチンの接種後に痛みを訴える中高生が相次いでいる問題で、日本線維筋痛症学会と厚生労働省研究班は27日、発症原因を探るための調査を始める方針を明らかにした。ワクチンの成分が発症のきっかけになっている可能性があるという。」「子宮頸がんワクチン接種後に痛みを訴えている患者の中に、線維筋痛症と診断された人がいる。また海外では、ワクチンのアジュバント(免疫補助剤)が線維筋痛症などの病気を誘発するとの報告があった。」「研究班長で桑名市総合医療センター(三重県)の松本美富士(よしふじ)顧問は「ワクチンの成分が脳内の炎症を誘発している可能性がある」と話す。
厚労省の研究班班長がこのような見解を述べ、調査を実施する方針を明らかにしたことは、少なくとも厚労省においても、「心身の反応」では片付けられない問題を抱えていることを示しています。
報道の内容だけでは調査計画の具体的な方法は不明ですが、因果関係の有無について、きちんと判断ができるような調査計画を立てたうえで、誠意ある適切な調査が実施されることを強く期待します。
シンポジウムの様子は、こちらでみることができます。