2022年11月5日、42歳女性が、集団接種会場で4回目のSARS-CoV-2ワクチン(オミクロンBA5対応二価ワクチン)の接種を受けた後、急速に気道が閉塞し、心肺停止となり、転送先の病院で約1時間50分後に死亡が確認された。この死亡例は、厚生労働省(厚労省)に報告され、11月11日の副反応検討部会で公開された[1]。その経過と問題点を述べる。
ワクチン接種後に急死した女性の死因を、3次救急病院では心不全とし、ネット上でもその原因として急性冠動脈症候群(ACS)、すなわち急性心筋梗塞などを疑う意見が少なくない。
しかし、薬のチェック編集部は、電撃型アナフィラキシーであったと判断する。
以下は、その経過の概略である。詳しい経緯は
死亡例(Aさん)は42歳女性。体重110kg、もともと睡眠時無呼吸症候群があったことが、後でわかった。
2022年11月5日午後2時18分にオミクロンBA5対応二価SARS-CoV-2ワクチンを接種。待機場所で待機。
接種から7分後(以後時間はすべて接種からの時間)に咳が出始めたため、看護師がついて救護室に移動中に座り込んでしまった。そのため車いすで救護室に移動。
10-11分後、医師が診察した時は顔面蒼白(そうはく)で呼吸苦を訴え、言葉は単語程度しか出なかった(註1:呼気ができず言葉が続かないため)。SpO2は60台(註2:SpO2が90%を切ると著しい低酸素状態であり60台ははるかに著しい低酸素)。酸素吸入(5L)を開始したけれども、
12分後、泡状のピンク色の血が混じった痰を吹き出し(註3:急性肺水腫の症状)、意識が低下したため、臥位にした。
16分後、心肺停止。頸動脈、鼠径動脈触れず。
22分後一時心拍が再開したが、
24分後に再び心肺停止。
37分後に救急車が到着して、搬送。
57分後に3次救急病院に到着。この間ずっとアドレナリンやステロイド剤の使用はなく、心拍のない状態が続いていた。
3次救急病院では直ちに静脈ルートが確保されアドレナリンが使用され、人工呼吸管理が実施され、アドレナリンは合計8アンプル使用された。しかし接種から1時間40分後に死亡が確認された。
死亡時画像診断が実施されて、高度肺うっ血像が認められた。病理解剖は実施されていない。
接種会場の医師は、第一報では「電撃的なアナフィラキシー反応との印象がある」と記載した。しかし3次救急病院では、急変時の泡沫状の血痰があり、死後の画像診断で高度肺うっ血像が認められたことから、急性心不全と診断した。そして、接種会場の医師は、その後(第2報では)、3次救急での判断も踏まえ「最終的な診断は不詳」としている。
また、厚労省の予防接種副反応検討部会(2022/11/11)の議事録を見ると、厚労省は、「死因」や因果関係の評価は専門家にゆだねており、厚労省自身の見解を述べていない。
しかし、 厚生労働省健康局予防接種担当参事官室が、各自治体の衛生担当部局に宛てて「新型コロナワクチンの接種に伴いアナフィラキシーを発症した者への対応について(再周知)」と題する2022年11月10日付通知で「当該症状が疑われる事例が引き続き報告されていることから・・・」[3]と述べていることを考えると、厚生労働省は事実上、この例を「アナフィラキシー」と認識していると、判断できる。
薬のチェックは、「アナフィラキシー」で間違いないと考える。しかも、最重症に属する「電撃型アナフィラキシー」である。
薬のチェック95号の特集「アナフィラキシーにはアドレナリンとステロイド」[4]を参照しながら、この死亡例がなぜアナフィラキシーとして対処が必要なのか、なぜすっきりとアナフィラキシーと判断されずに、議論になっているのか、同様の死亡を招かないために、何が必要なのかを考える。
日本で4400人に1人、米国でも4000人に1人の割合でアナフィラキシーが発症している[5]。
注射剤のセフエム系、ペニシリン系抗生物質はアナフィラキシーの発生頻度が高いが、その中でも最高頻度のセフォチアム(パンスポリン🄬など)で8000人に1人程度である(TIP誌1994年6月号)[6]。
ワクチンの中でインフルエンザワクチンも安全というわけではないが、厚労省の情報[7]をもとに計算すると180万人に1人程度であり、それに比べるとSARS-CoV-2は約400倍の高頻度でアナフィラキシーが報告されている。
アナフィラキシーの一般的特徴は、原因物質が体内に入った後、短時間に皮膚にジンマシン、咳や喘鳴(ゼーゼー)など呼吸器症状、低血圧という3症状のうち2つが急速に起こることとされている。
しかし、電撃型では皮膚や粘膜の症状がないまま、いきなり呼吸ができなくなり、低酸素のために血圧が低下し意識がなくなる[4]。Aさんは、この電撃型アナフィラキシーの典型的な症状経過をたどっている。
電撃化(劇症化)してショックとなりうる他の病態としては、急性心筋梗塞(急性冠動脈症候群、ACS)や肺塞栓症、解離性大動脈瘤なども考えられる。しかし、
・急性心筋梗塞(急性冠動脈症候群、ACS)では、呼吸は可能であり、言葉が単語程度しか出ない、というようなことはない。心筋梗塞では、特徴的な胸痛があるはずだが、全くその症状の報告がない。
無痛性の心筋梗塞が糖尿病の神経障害のある人には起こりうる。しかし、Aさんは糖尿病はあったが、42歳とまだ若く、110kgと肥満であった。肥満のある糖尿病では、インスリンはむしろ過剰に出ている段階であり、糖尿病の発症からの期間はそれほど長くはないと考えられる。したがって、糖尿病歴は神経障害(糖尿病性ニューロパシー)を起こす程糖尿病歴が長かったとは考え難く、無痛性の心筋梗塞であった可能性は低い。
不整脈で無痛性に突然死することもありうるが、咳や呼吸困難の呼吸症状が前面に出るのは不整脈としては合わないし、不整脈による突然死なら肺水腫も起こらない。
咳が心不全の始まりの症状のことはありうるが、その場合は、接種前に心筋梗塞が始まっていなければ経過が合わない。接種前は、体調不良ではあったが、心筋梗塞が始まっていたとは全く考えられない。
・肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)では、肺動脈に血栓が詰まるために著明な低酸素になるが、肺塞栓症では気道は閉塞せず、呼吸運動はできるので、意識がある限り「単語しかでない」ことはなく、普通に会話が可能である。
肺塞栓症の場合、臥位になればむしろ血流が再開するため、症状は軽減しうるが、Aさんは臥位になった直後に心停止したので合わない。
また、肺動脈に血栓があれば、死後のCTでかなりの程度分かるはずだが、その所見は報告されていない。
意識がある時に呼吸がほとんどできなかったことや他の症状、死後のCTから肺塞栓症は否定できる。
・解離性大動脈瘤で直ちに死亡するほどの電撃的な例では、著明な背部痛があり、呼吸困難が来る前に血圧が下がって意識が消失する。また、肺水腫(肺うっ血)は起こらないので、これも否定できる。
心不全、特に左心不全があると、全身に送り出すべき血液が送り出せないために、肺に水が溜まってきて、肺水腫を起こす。ピンク色の泡沫状血痰は、そうした左心不全による急性肺水腫の典型的な症状である。
ところが、心不全がなくとも、肺に水が溜まり、心不全のときのような肺水腫が起こり、ピンク色の泡沫状血痰を出すようになる。これを、低酸素性非心原性肺水腫という[8]。
睡眠時無呼吸症候群で夜間に低酸素が続くと起床時に肺水腫を起こしていることがあるし、高山病でも、また、抗インフルエンザウイルス剤タミフルによる呼吸抑制によっても低酸素性非心原性肺水腫が起こる。
これは、普段は、肺胞内にたまる水を、肺胞のⅡ型細胞が血管内に汲み出して肺胞を乾燥させているのだが、低酸素になるとこの肺胞Ⅱ型細胞の働きが鈍るからである。そのために、肺胞内に水が溜まり、肺水腫を起こす[9]。
したがって、肺水腫の存在はアナフィラキシー否定の根拠にはならない。
アドレナリン筋注で血中濃度がピークに達する時間は、平均的に5~10分[4]、もしくは10分[10,11]とされているが、これらで引用されている文献の原著[12]を詳しく読むと、筋注すると大部分の例(8例中6例)で、5分以内に血中濃度がピークに達していた。また、18~30歳の成人12人(男性4人、女性8人)を対象とした試験で、アドレナリン0.3mgを筋肉注射して5分から20分まで5分毎、20分以降1時間までは10分毎に血中濃度を測定した試験では、平均血中濃度が最も高かったのは5分後であった[13]。
また、アドレナリン筋肉注射後2分毎に測定した結果では、男性で4分後にアドレナリン血中濃度の最初のピークがあり、やや低下して50分後に2度目のピークがあった。肥満の女性では最初のピークが2分後にあり、その後少し低下して2度目のピークが30分後頃にあった。肥満女性では、アドレナリンの効果の指標となる心拍数の注射前からの増加分(最大11/分増加)の約半分(5.5/分)に4分後に到達し、7割(8/分)6分後に到達した[14]。アドレナリン筋注による血中濃度の推移についての総説記事でもおおむね同様の結果が示されている[15]。
したがって、Aさんの場合でも、3~4分もすれば、ある程度有効な血中濃度になっていたと考えられる。
看護師が、咳が出始め急速な症状の進行でアナフィラキシーの可能性を認識し、緊急に医師を招集して対処し、直ちにアドレナリンを0.5アンプル筋注すれば、10~11分ごろにはある程度効果が出てくる可能性があった。3~4分経っても効いてこなければ、再度アドレナリンの筋注を追加し、直ちに救急車を呼んで3次救急病院へ搬送する。
このような処置によって救命できていた可能性がありうると考えられる。
これまでのアナフィラキシーのガイドラインでは、2022年改訂版も含めて、今回の例のような電撃型アナフィラキシーが診断できない。
①従来のアナフィラキシーガイドライン
厚生労働省の重篤副作用疾患別対応マニュアル「アナフィラキシー」2088年版(2019年改定)[16]や、2014年の日本アレルギー学会編の「アナフィラキシー ガイドライン」[10]の記述では、
喉頭浮腫による気道閉塞を唯一の症状とする電撃型アナフィラキシーは、この3項目に、含まれないため、これまでのガイドラインでは全く診断ができない。
しかも、呼吸症状軽視を象徴するかのように、呼吸症状のイラストにアナフィラキシーの呼吸症状に重篤さを全く感じることができない。呼吸症状よりも、血圧低下が重視されていることもあり、呼吸症状の重篤さが伝わらない。
・2021年までのガイドライン[10]の記述
1.では、呼吸器症状が全く苦しそうでない。血圧低下に比べて、呼吸器症状に深刻さが、これでは全く伝わらない。
2.では、1.と同様、呼吸器症状に重大さ・深刻さが全くない。
3.についても、血圧だけを重視して記載している。
これでは、気道閉塞に始まる電撃型アナフィラキシーなら、意識が消失するほどの低酸素で血圧が低下してからでないと、アナフィラキシーと診断できない。
この時点でアドレナリンを筋注しても、アドレナリンの吸収も遅く、アナフィラキシーの元になるヒスタミンなど化学伝達物質をマスト細胞はすでに最大限出し尽くしているので、救命は不可能である。
また、ガイドラインには、気道閉塞だけで心不全がなくとも低酸素性非心原性肺水腫が起こりうることに関しても記載がないので、ピンク色の泡沫状の血痰を見ると、肺水腫が心不全で起こっていると誤診してしまうことになる。
②日本アレルギー学会の2022年改訂版ガイドライン[11]では多少改善されたが、なお、循環器症状(低血圧)を重視し呼吸症状で発症する電撃型を見落としてしまう。
2022年版(最新)のガイドライン
これは、アナフィラキシーは「皮膚症状が必須」ととられかねない書き方である。
2022年改訂ガイドラインでは、2項目の下の方にようやく、喉頭の症状を強調したイラストが描かれている。
しかし、その内容は、吸気性喘鳴、変声、嚥下痛などであり、気道閉塞の緊急性が伝わり難い。また、血圧低下が先に述べられているために、喉頭閉塞が死に直結する深刻な症状であるという重大さが伝わってこない。
いきなり息ができなくなったら、何をおいても、アドレナリンの筋肉注射 と強調して書かれていなければ、医師はその深刻さを認識しない!!
3次救急に電撃型アナフィラキシーの例が搬送される頃には、本例のように、心停止を起こしてからしばらく経過した場合が多い。
したがって、3次救急の医師であっても、原因物質の曝露から数分で発症し、発症から10分程度で心停止するような電撃型アナフィラキシーを、発症直後に診療した経験はほとんどないといえる。
たまたま、勤務病院内で造影剤などによる電撃例の救命処置に携わらない限り、電撃型アナフィラキシーを経験することはまずない。したがって、電撃型アナフィラキシーに適切に対処できるかどうかは、適切な知識を持っているかどうかに左右される。
しかし、上記のように、アナフィラキシーのガイドラインが適切な知識を提供していないために、3次救急の医師も含めて、医師の知識は不十分である。
アナフィラキシーと診断すべき根拠の第4)項「心不全がなくとも、低酸素だけで急性肺水腫が起こる」で触れたが、肺水腫の原因としては心不全が多く、低酸素性非心原性は少ない。また、アナフィラキシーガイドラインでも、肺水腫が低酸素性非心原性に生じうることが記載されていない。
このようなことが重なり、3次救急病院を含めて医師の間に、低酸素性非心原性肺水腫が、アナフィラキシーで起こりうるとの知識が不足している。
病理解剖をすれば、肺塞栓症であれば肺動脈主管部(左肺動脈が多い)に太い血栓が認められるはずである。
また、短時間で死亡する心筋梗塞なら、相当太い冠動脈に血栓ができているのが肉眼でもみえるはずである。
しかし、病理解剖が実施されていないために、死因について議論が続いている。
SARS-CoV-2ワクチンはCOVID-19の発症を予防しなくなっており、害だけがある無用な物質である。したがって、使用しないようにするべきだが、現実には接種が続いているので、接種するならば、以下の点を改める必要がある。
1)アナフィラキシーガイドラインの記述を適切にすること
2) SARS-CoV-2ワクチンは4000人に1人の割合と、高頻度にアナフィラキシーを起こすワクチンであることを、周知させること
3) 常に、アナフィラキシーに直ちに対処できる準備が必要
ワクチン接種の際には、医療機関での接種、集団接種会場での接種を問わず、常に、アナフィラキシーに直ちに対処できる準備を整えておく必要がある。すなわち、
①アドレナリン入り針つき注射器
②静脈ルートの確保用の点滴セット
③酸素吸入
④注射用のステロイド
である。
4) 本例では、集団接種会場ではなく入院設備のある医療機関で実施すべき
特に本例では、もともと接種会場の医師によれば「体調が悪かった」。体重が110kgあり、高血圧症、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群があった。そのため、喉頭部が狭く喉頭浮腫が起これば気道が塞がりやすかったと考えられる。このような人は、接種をするのであれば、集団接種会場ではなく、アナフィラキシーに対応できる入院設備のある医療機関で実施すべきである。
浜:私が勤務医の頃の経験である。入院中の21歳の男性が、上記Aさんよりも激烈な電撃型アナフィラキシーを起こした。
看護師が点滴を始めたところ、すぐに、腕から胸、喉、顔に焼けつ感じがして2~3分後に呼吸が苦しいと訴えた。看護師は直ちに点滴を抜去し、医師が呼ばれた。私も含めて3人の医師が駆け付けた時にはすでに顔が真っ黒と感じるほどのチアノーゼで、脈も触れなかった。しかし、奇跡的に点滴ルートが取れてアドレナリンとイソプレナリン、ステロイド剤を注射したところ、低酸素にともなう痙攣が起きたが、気管挿管の準備をしていたら、呼吸が再開したため、気管挿管することなく救命できた。アドレナリンの点滴は6時間、ドパミンは24時間持続点滴を要した。点滴ルートが確保できなかったら、アドレナリンの筋注では間に合わなかった可能性がある。
この場合も、ジンマシンなど他の症状は全くなかった。焼けつく感じの次に呼吸困難が生じたため、アナフィラキシーと即座に判断できた。
これら電撃型(劇症例)では、喉頭浮腫のために気道が閉塞する。そのために息ができなくなり、急速に血圧が低下して意識がなくなる。上記の症例は救命できたが、アナフィラキシーで死亡する例の大部分は、呼吸症状がいきなり起こるタイプである。咳が出始め急速に気道が狭くなるために、声が出せず、単語単位でしか話ができない。この段階で間髪入れずにアドレナリン筋注が必要である。
繰り返すが、死亡につながるアナフィラキシーの最も注目すべき症状は、呼吸困難が(咳で始まり)急速に進行し気道が閉塞する。
また、上記経験例がアナフィラキシーであったことは、プリックテストと皮内反応で確認した。点滴に混入された止血剤のビタミンK製剤(ケーワン🄬:註)中の添加剤である 「HCO-60」という界面活性剤を1億倍希釈液の皮内反応では陰性であったが、1000万倍希釈溶液の皮内反応では陽性であった。
繰り返すが、死亡につながるアナフィラキシーの最も注目すべき症状は、呼吸困難が(咳で始まり)急速に進行し気道が閉塞する。
註:骨折手術後の抜釘の前処置として用いられた。1979年当時一般的であったが、本来不要である。
参考:浜六郎、ビタミンK製剤・可溶化剤HCO−60とアナフィラキシー型ショック、TIP「正しい治療と薬の情報」1986年2月号[18]
以下、資料(厚生労働省、ワクチン副反応検討部会2022年11月11日資料1-3-1別添より)[1]
42歳女性、体重110kg、既往歴に睡眠時無呼吸症候群あり。(報告医1 第一報)アナフィラキシー疑いとして報告。 14:18頃ワクチン接種。本人は体調変わりなしと答えた。 14:20頃待機場所に歩いて移動。 14:25頃、咳が出始めたため看護師が声をかけ前方に歩いてくるも、途中で座り込んでしまう。看護師が車いすで介助し救護室に移送。その際に、「接種前から体調が悪かった」との訴えを看護師が聞いた。看護師より、「気分が悪い人がいる」と呼ばれて報告者である医師が救護室へ向かった。 14:28-29頃初診時、顔面蒼白・呼吸苦訴えあり。明らかな粘膜所見なし・皮膚所見なし・掻痒感なし。消化器症状訴えなし。聴診では明らかな喘鳴は聴取できず。意識はあるものの呼吸促迫しており、会話は単語程度を断続的にできるのみ。バイタルチェックを指示し、SpO2 60%台であったため再検を指示するとともに、酸素5L投与開始、救急要請。 14:30頃、バイタルチェック中に嘔気出現・泡沫状のピンク色の血痰を排出。次いで鼻腔からも血痰が溢れ、 14:34頃意識レベルが低下したため臥位にすると呼吸停止・総頸動脈/鼠径動脈触れず。bystander CPR開始。 14:35-36頃AED装着。 ショックの必要なしで、CPR継続。エピネフリンを静脈内投与しようとするも静脈路確保できずCPR継続。 14:40頃、心拍再開・自発呼吸再開するも、あえぎ様呼吸であり、 14:42頃再び心肺停止となりCPRを再開。ほぼ同時に救急隊接触し、 14:55救急搬送となった。救急車内でも Asys継続・瞳孔散大対光反射なし。 15:15頃3次救急病院に到着し、引き継ぎとなった。 死因に関する報告者の見解:不明(報告医から、発症経過からコロナワクチンによる電撃的なアナフィラキシー反応の印象があるが、最終的な診断は不詳である。と報告) 因果関係:関連あり
ワクチン接種当日 15:15、隣接市の新型コロナウイルスワクチン接種会場から心肺蘇生患者の救急搬送を報告者の医療機関の救命救急センターにて受け入れた。到着時、心肺停止状態で、心電図波形は心静止であった。心肺蘇生を継続し、ルート確保のうえ、アドレナリン1mgを投与し、挿管管理を実施した。アドレナリン1mgを計8回投与するも反応はなく、 同日 15:58死亡確認となった。死亡時画像診断を実施し、高度肺うっ血像認めた。病理解剖は実施せず。救急隊から、推定体重110kgとの情報があった。以前のかかりつけ医からの情報で、既往として高血圧症、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群があった。救急搬送時の所見としては、高度肥満があり、皮膚および粘膜病変は認めなかった。 接種会場での状況について、ワクチン接種前から呼吸苦があったとの情報と、急変時に泡沫状血痰があったとの情報があり、急性心不全を死因とした。 死因に関する報告者の見解:急性心不全、心肺停止
(報告医1 第二報)第一報で報告基準に該当するものとして、アナフィラキシー疑いとして報告されたが、第二報としてその他の反応として報告された。 14:18頃ワクチン接種。本人は体調変わりなしと答えた。 14:20頃待機場所に歩いて移動。 14:25頃、咳が出始めたため看護師が声をかけ前方に歩いてくるも、途中で座り込んでしまう。看護師が車いすで介助し救護室に移送。その際に、「接種前から体調が悪かった」との訴えを看護師が聞いた。看護師より、「気分が悪い人がいる」と呼ばれて報告者である医師が救護室へ向かった。 14:28-29頃初診時、顔面蒼白・呼吸苦訴えあり。明らかな粘膜所見なし・皮膚所見なし・掻痒感なし。消化器症状訴えなし。聴診では明らかな喘鳴は聴取できず。意識はあるものの呼吸促迫しており、会話は単語程度を断続的にできるのみ。バイタルチェックを指示し、SpO2 60%台と判明したため酸素5L投与開始、救急要請、血圧などその他のバイタルチェックを継続。 14:30頃、バイタルチェック中に泡沫状のピンク色の血痰を大量に排出。次いで鼻腔からも血痰が溢れ、意識レベルが低下したため臥位にする。14:34頃呼吸停止・総頸動脈/鼠径動脈触れずCPR開始。14:35-36頃AED装着。ショックの必要なしで、CPR継続。エピネフリンを静脈内投与しようとするも静脈路確保できずCPR継続。 14:40頃、心拍再開・自発呼吸再開するも、あえぎ様呼吸であり、14:42頃再び心肺停止となりCPRを再開。ほぼ同時に救急隊接触し、 14:55救急車に同乗し搬送。救急車内でもCPR継続するが心静止状態で瞳孔散大、対光反射なし。 15:15頃3次救急病院に到着し、引き継ぎとなった。 予診票上の留意点として、糖尿病を記載。
死因に関する報告者の見解:不明(報告医から、死亡診断書では急性心不全と記載されたと聞いているが、最終的な診断は不詳である。と報告)
厚労省が公表した資料 では「急性心不全」とされているが、議事録 では 報告医1の見解として「不明」と訂正されている