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 ヤコブ病訴訟が和解した。国は責任を認め、実質謝罪した。サリドマイドなどの被害 後、再発防止努力を確約したのに薬害が起きたことを反省し、「悲惨な被害を再び繰り 返すことがないよう最善、最大の努力をすることを固く確約する」とした。

 薬害は大きく取り上げられたものに限らない。2年前中止の糖尿病用剤による肝障害 、解熱剤による脳症、コレステロールの下げすぎによる死亡増・・・。降圧剤や抗生物 質など、一般に良いと信じられているものの中にも、「表面化していない薬害」は身の 回りには多い。

 薬が粗悪品だと、みなさんの命が危うい。だから、効果と安全性を国がチェックする 。なのに薬害が絶えないのは、結局、国のチェックが甘すぎるからだ。

 ヤコブ病和解確認書では「情報公開の推進」をうたっている。しかし現実には2年前 、薬の品質の裏付けとなる臨床試験などに関して、学術論文として公表する義務すら外 してしまった。最近は、広告規制緩和の動きなど、メーカーに有利な情報が流れやすく なっている。

 薬害を本気でなくそうとするのなら、まずこうした「逆行」を改めるべきだ。そうな るまでは、「夢の新薬」「画期的新薬」と勧められても「ほんとかな」と疑うことがま だまだ必要だ。もちろん、私の情報も疑っていただいて結構。ただ、どちらが正しいか 、その後の「結果」で必ず確かめてほしい。疑い&吟味、これで情報を見る目は鍛えら れる。

 紙面での「薬の診察室」は今回で終わる。だが、私の「薬の診察=薬のチェック」の 仕事は終わることはない。「良い薬」と「粗悪品や危険なもの」をみなさん自身が区別 できるよう見張り続けているのが「医薬ビジランスセンター」。成果は『薬のチェック は命のチェック』に掲載している。広告抜き・購読料が支えの季刊誌だ。関心のある方 は定期講読していただければと思う(税別1200円、年間4千円。他に医師・薬剤師 向け書籍も発行)。

連絡:大阪市天王寺区逢阪2の3の1の502

TEL06−6771−6345、FAX06−6771−6347。

http://npojip.org

 市民が『ほんまもん』の情報を手にし、一人ひとりが関心を持ちつづけること。それ が現状を変えることになる。


薬の診察室 (朝日新聞家庭欄に2001年4月より連載)  医薬ビジランスセンター
                                  浜 六郎