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 このコラムもあと2回。おさらいも含めだれにもできる「薬をチェックするポイント 」を。

 第1は、薬に頼らなくてもよい体づくりをしているかどうか。具体的には、3大栄養 素を大切にすること。目安は糖尿病食だ。これは誰にとっても健康食。適度の運動の大 切さ、喫煙や環境汚染の害も忘れずに。

 第2は、その薬が本当に必要かどうかの見極め。健康管理に気をつければどうなるか 。コレステロールや血圧も、危険因子のない人は、基準より高くても薬で下げる必要は ない場合も多い。また、かぜに解熱剤はいらないし、他の対症療法用の薬も必要最小限 にしたい。

 一方、インスリンや甲状腺ホルモンなど、重要なホルモンの欠乏には、補充が大切だ 。 抗生物質は耐性菌をつくらないような限定使用を。手術直前の1回使用は、耐性化 を防ぐし薬剤費の節約にもなる。熱もないのに術後だらだらと抗生物質を使い続けたり 、かぜでも全員に使ったりする医師は要注意。

 第3は、新薬には飛びつかないこと。あなたに現在、薬が必要だとしても、開発から 10年以上たった薬で、ほとんどの病気治療は間に合う。新薬は、病気を部分的によく しても、全体では逆効果の場合もある。臨床試験ではわからず、実際に使われ発見され る副作用は多い。

 私は勤務医時代も、新薬はとりあえず1年間使わなかったが、日常診療に何ら不都合 はなく、その間に消える薬剤も多かった。抗HIV薬など一部のものを除き、ぴかぴか の新薬は少なくとも2年、場合によっては数年は待った方がよい。

 第4は、世界のエッセンシャル・ドラッグ(必須薬)かどうかだ。  日本には現在、成分数で二千数百、商品名で1万7千種類の薬剤が市場に出回ってい る。

 WHO(世界保健機関)は、「病気の予防や診断・治療に不可欠で、なければ健康維 持や医療に重大な支障をきたすような質の高い優れた薬剤」のリストを作っている。そ の翻訳が「世界のエッセンシャルドラッグ」(三省堂、00年)だ。これには今、31 2種類が採用されている。日本の医療もほとんどがこれらで対応でき、100〜200 種類追加すればほぼ完ぺきに治療できる。


薬の診察室 (朝日新聞家庭欄に2001年4月より連載)  医薬ビジランスセンター
                                  浜 六郎