(2003.07.03号)
『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No24
薬審(薬事分科会)会長と審査センター長に意見書
NPO法人医薬ビジランスセンターでは、7月2日、井村伸正薬事・食品衛生審議会、薬事分科会長に対して、新たな問題点を指摘した「0.03%プロトピック軟膏の発がん性に関する意見書」を提出し、慎重な判断を求めた(なお、基本的に同内容の意見書を、豊島聰医薬品医療機器審査センター長にも同時に提出し、薬事分科会各委員にも分科会長に宛てた意見書を送付しておいた)。
新たに指摘した問題点は以下のようにまとめられる、
- ICHガイダンス基準では、ヒト最大用量の血中濃度(AUC)は、マウス発がん最低用量における血中濃度(AUC)の25分の1より低くなるようにするべき(体重mg/kg換算用量では150分の1)、とされている。
- マウスに対する確実なプロトピック軟膏発がん用量0.03%群の血中濃度を基準に、これを適用すると、その25分の1の濃度は、ヒト常用量(最大用量ではない)の平均血中濃度よりもずっと低い。しかも、血中濃度は測定限界未満である。このため、大多数が発がん危険を有することになる。
- マウス0.1%群の血中濃度を基準としても、その25分の1は、ヒト常用量(最大用量ではない)の平均血中濃度よりも低い。過半数が発がん危険を有することになる。
- マウス発がん実験をやり直しするとすれば、さらに安全用量は低濃度になり、医薬品としての効果は期待できないことになる。
- 現データで小児に0.03%プロトピック軟膏を承認することは、発がん物質を小児に承認することになり、これは、歴史に禍根を残すことになる。
- 万が一承認されることがあれば50〜60年間追跡が必要である
- なお、マウス実験での対照群設定が問題にされたが、毛刈のみ群は非生理的でストレス状態の持続で免疫低下を招くため、軟膏基剤群の方が適切である。
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