(2016.07.14号)

『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No172

厚労省に意見書提出

NPO法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック)は、2014年7月14日、厚生労働大臣あてに、タミフルの使用中止のほか、ノイラミニダーゼ阻害剤の使用を制限するための要望書を提出し、厚生労働省(厚労省)記者クラブにおいて、記者会見をもった。

これは、2011年のオセルタミビルと突然型死亡に関する疫学調査の英文論文掲載(速報No151)、 2014年のコクラン共同計画システマティックレビュー(速報No168)に続き、本年6月に相次いで、タミフルの害反応の機序に関する2編の英文総説論文(タミフルの突発型害反応の機序、タミフルの遅発型害反応の機序)が掲載された(速報No170)ことを受けて行われたものである。

資料1:オセルタミビル他ノイラミニダーゼ阻害剤の使用に関する要望書

資料2:プレスリリース

資料3:記者会見用スライド


2016年7月14日

オセルタミビル他ノイラミニダーゼ阻害剤の使用に関する要望書

厚生労働大臣   塩崎恭久 様

医薬担当審議官 森 和彦 様

安全対策課   佐藤大作 様

浜 六郎

NPO法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック)代表

〒543-0002 大阪市天王寺区上汐5-1-20 702

TEL06-6771-6345 FAX06-6771-6347

最近の研究結果を考慮し、リン酸オセルタミビル(タミフル)をはじめ、ノイラミニダーゼ阻害剤の使用に関して、以下を要望します。

要望事項

第1 タミフルの害に関連して

  1. タミフルと異常行動や事故死、突然死との因果関係に関わる種々の研究結果のうち、臨床試験のシステマティックレビューとメタ解析[1]、突発型害反応の発症機序[2]および遅発型害反応の発症機序[3]に関するレビュー論文、ECDC見解(案)に対するコメント[4]の結果を踏まえ、徹底的に見直しをすること
  2. タミフルと突然死との因果関係[2,4]を認めること
  3. タミフルと異常行動ならびに異常行動からの事故死との因果関係[2,4]を認めること
  4. タミフル使用後の遅発性低酸素脳症による後遺障害との因果関係を認めること
  5. そのうえで、タミフルの使用を全面的に中止すること

第2 タミフルおよび他のノイラミニダーゼ阻害剤の効力に関して

  1. システマティックレビューの結果は、コクランチームのシステマティックレビュー[1]が、はるかに信頼性が高い
  2. タミフルほかノイラミニダーゼ阻害剤は、インフルエンザウイルスを減少させて症状を軽減するのではなく、ヒトのノイラミニダーゼを阻害することで、免疫反応を抑制するために症状を軽減している[3]、ということを認めること
  3. ノイラミニダーゼ阻害剤を使用した場合、呼吸器粘膜のIgA抗体を著しく低下させ、免疫記憶を低下させるため、同じシーズンに、同じウイルスの再感染を受けたり、翌年にインフルエンザに罹患しやすくなること[3]に関する警告を、添付文書上に記載すること
  4. ノイラミニダーゼ阻害剤は腎障害、糖尿病誘発、QT延長、遅発性精神症状、四肢痛誘発などの害があるため、ハイリスク者に危険だ[3]ということを、確認すること

第3 ノイラミニダーゼ阻害剤の処方実態について

ヨーロッパと極端に異なる処方実態に対する対策を講じること。すなわち、普段健康な人にはノイラミニダーゼ阻害剤は不要であること、ハイリスク者には原疾患を悪化しうるということを明確にすること

第4 仮にタミフルの使用を中止しない場合、添付文書の警告欄に以下の事項を記載して注意を喚起すること

本来、タミフルは中止すべきだが、仮に、タミフルの使用を中止しない場合、添付文書の警告欄に以下の事項を記載して注意を喚起すること

  1. 突然死する可能性があり、特に睡眠中に生じやすい、
  2. そのため、死亡の予測が不能であり、死亡率は許容限度を超えている。
  3. 昼間でも、呼吸困難から短時間に死亡する例があり、治療は極めて困難である
  4. 呼吸停止から一旦回復(改善)したように見えた後、遅発性低酸素脳症が生じ、障害を残すことがある

第5 被害者の救済について

  1. タミフル服用後に呼吸停止後突然死した人、異常行動のあった人、異常行動から事故死した人、呼吸停止後に遅発性低酸素脳症をきたし障害を残した人らが、副作用救済制度による救済を求めている。しかし、未だに厚生労働省は、因果関係を認めず、救済を拒否し続けている。厚生労働省は速やかに因果関係を認め、被害者の救済をすること。

要望理由と、参考文献は、要望書本文参照


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