前回速報 184 では、やってはいけないこと5つのポイントのうち2つについて述べました。今回の本題に入る前に、速報184に関連した世界の動きをみておきましょう。
3月13日、非ステロイド抗炎症剤(NSAIDs)のイブプロフェンを新型コロナウイルス感染(COVID-19)の解熱のために使わないように、とフランスの厚生大臣がツイッターで述べたと英国のガーディアン紙が報道しました[1]。英国の保健当局[2]でも同様のことを述べています。日本でもそれが報道され[3]、情報は拡散しているようです。よいことと思いますが、残念ながら、アセトアミノフェンを代わりに使うようにとされていて、この点は不十分だと思います。
WHOも少なくとも3月18日の時点では、イブプロフェンを避けるようにとしましたが[4]、その後、現在入手しうる情報からは、イブプロフェンを使用しないようにとの勧告はしないと、先の見解を撤回しました[4](3月22日現在)。欧州の薬剤規制当局(EMA)もイブプロフェン規制の科学的根拠について疑問視しています[5]。ただしEMAは、「水痘(みずぼうそう)」などの感染症をイブプロフェンが重症化させること(速報184号参照)は認めていて、「使わないように」と言っています[5]。
しかしながら、多数の疫学調査や感染動物を用いた多数の実験で、イブプロフェンやNSAIDsが死亡率を高める確実な証拠がある(速報184号参照)のに、WHOもEMAもそのことに触れていません。特に、感染動物の死亡率を高めることは、例外なく示されていますが(速報184号参照)、このことにもまったく触れていません。
学者の中にはフランスや英国の考え方を批判する考えを述べている人がいます[6]が、根拠を示して批判している人は極めて少ないです。また、根拠論文を示して批判している場合でも、例えば、リトル教授(サザンプトン大、プライマリーケア)[7]が示した根拠論文は千人未満の小規模な調査なので、重篤なライ症候群や脳症などによる死亡を検出できるような調査ではありません。そういう不十分な調査を根拠に、イブプロフェンなどが重症化を示している研究の方法上の問題点を指摘して批判しています。
しかし、リトル教授が引用した論文中、明確に症例対照研究として実施していて、適切に実施された研究だけを取り出してみても、イブプロフェンなどNSAIDsが4~6倍感染症を重症化させるという結果になりました[8]。また、イブプロフェンの害を疑問視する研究者らも、速報No184で述べた感染動物の死亡増の事実をまったく引用していません。
もう一度、速報184をまとめておきます。
です。
今回は「やってはいけないこと5つのポイント」のうち第3~第5項目について詳しく述べます。
タミフルとゾフルーザに関しては、最新の情報として、薬のチェック速報版No180(タミフル:10代解禁で異常行動死が増加:他薬剤の120倍に)No181(タミフルもゾフルーザも死亡リスク増大)で詳しく述べました。また、「薬のチェック」(印刷版)でもNo87号で、タミフルとゾフルーザの重大な害(タミフル 10代異常行動後の死亡再び、タミフルもゾフルーザも死亡の危険度が大きい)について取り上げました。
この冬のインフルエンザのシーズンでは、いつもにない暖冬の影響で、インフルエンザがあまり流行しませんでした。
しかしながら、感染が判明する前の患者に、インフルエンザを疑って迅速検査を行った医師が新型コロナウイルス(SARSコロナウイルス-2または、COVID-19ウイルスともいう)に感染する事例が確認されています。そこで、日本医師会では、インフルエンザの疑いがあっても検査をせず、臨床症状で判断するようにと会員に要請しました[8]。
これは、感染予防のための防護用具の不足状況が続いている現状では、ウイルス検査のための検体採取に際して、医師が感染する危険性と、その後の他患者への感染の防止のためには、やむを得ないことでしょう。
しかしながら、新型コロナウイルス感染の初期症状とインフルエンザの症状とは非常によく似ています。中国でも、流行の当初は、インフルエンザとしてタミフルが約90%ないし、それ以上の患者に使われたとのことです[9,10]
当然ながら、医師がインフルエンザと判断した患者にタミフルが処方されることになります。
しかし、新型コロナウイルスにタミフルはまったく効果がありません。タミフルなどは、新型コロナウイルスを悪化させることはないでしょうか?
インフルエンザウイルスはノイラミニダーゼという酵素を持っています。今でも抗インフルエンザウイルス剤としてよく使われているタミフルは、ウイルスのこの酵素の働きを邪魔するということで「ノイラミニダーゼ阻害剤」と言います。その仲間には、リレンザやイナビルなどの吸入剤のほか、ラピアクタという注射剤も時に使われています。
一般には、あるいは多くの医師も、ノイラミニダーゼ阻害剤は、ウイルスだけをやっつけて、インフルエンザに効くと信じられていますが、その根拠はまったくありません。
実は、ノイラミニダーゼという酵素はヒトの全身の細胞にもあり、細胞を常に健康に保っておくために必須の酵素なのです。そして、タミフルなどを使用すると、ヒト体内のノイラミニダーゼも阻害されて、免疫の働きまでもが阻害されます。
タミフルを使うと、インフルエンザウイルスと闘うための化学物質(サイトカインという)を体が出さなくなるため、一見、症状が軽くなったように見えますが、治癒が遅れることがあります。また、鼻や呼吸器粘膜にある、インフルエンザウイルスの侵入を阻止するための抗体が、使わない場合の5分の1に減ってしまうことが動物でも、ヒトでも確かめられています。
ノイラミニダーゼを持たないRSウイルスという乳児に重症呼吸器感染を起こすウイルスがあります。これをマウスに感染させて、タミフルを投与すると、症状は一時的に軽くなるものの、ウイルスが逆に増えていた、ということが実験で証明されています[11,12]。
これらのことは、タミフルによる免疫抑制の害に関する総説論文[11、英文]に詳しく書きました。日本語にも翻訳[12]してありますので是非お読みください。
これら、インフルエンザウイルスやRSウイルスで起こったことは、新型コロナウイルスでも当然起こることです。
タミフルは新型コロナウイルス感染を重症化させるので使わないように
タミフルなどノイラミニダーゼ阻害剤は、先述したように、ウイルスを減らして症状を軽くするのではなく、体がウイルスと闘わないようにしているだけです。
それでも、人は自力でインフルエンザを治しています。薬剤を使わなくても困ることはありません。
たとえ、インフルエンザであっても使わないで何の不都合もないのです。
この機会に、抗インフルエンザウイルス剤を使わない習慣を身に着けましょう。
ゾフルーザは、タミフルやリレンザなどと違ってインフルエンザウイルスを確実に減らします。しかし、耐性ができますし、ヒトの重要な酵素もどうやら阻害するようです。
しかも、腸内で高濃度になるため、まず腸粘膜の細胞の働きを弱めて水が吸収できなくなり、下痢をします。次に再生の激しい腸粘膜の細胞が再生しなくなり、腸に傷ができて出血し、下血します。さらには、傷ついた粘膜から、腸内の細菌が血中に入り込んで、全身に運ばれて全身の重症感染症(菌血症、敗血症)を引き起こします。
昨シーズン(2018/19)は、インフルエンザで427万人がゾフルーザを服用していました。そして、医師がゾフルーザによる死亡ではないかと疑って報告した人が37人いました。実に、少なくとも12万人に1人の死亡率です。60歳以上では、8万人に1人の死亡率でした。リレンザやイナビルなど吸入剤では約300万人中死亡報告は0でしたので、ゾフルーザによる死亡がいかに多いかがおわかりいただけるでしょう。
新型コロナウイルスは、肺など呼吸器だけでなく、口からも感染し、胃腸にも入っていきます。ゾフルーザで腸に傷がつくと、ウイルスや腸内細菌が血中に移行しやすくなります。それと同時に、次の項目で詳しく述べますが、ウイルスが感染するために必要な物質ACE2という酵素が増えます。
腸にも感染し、血中にも移行して全身に存在するACE2という酵素を受容体として、体の各臓器に感染します。
ゾフルーザも新型コロナウイルス感染を重症化させるので使わないように
ゾフルーザを使わないとインフルエンザの治りが悪くなる?と心配の人もいるかもしれませんが、タミフルのところで述べたように、インフルエンザは体の免疫力で治します。
ゾフルーザがないほうが、全体的にみて、早く治ります。
もちろん、新型コロナウイルスに感染していても、自然に治るのを待つのが一番です。
新型コロナウイルスは、ACE2という酵素を受容体として細胞内に侵入します。この酵素は、体のほとんどの細胞の表面にあり、ストレスが積み重なり、体に傷ができると増える酵素です。呼吸器以外感染しないインフルエンザウイルスと異なり、腸の細胞にも感染し、血中にも移行して、全身に回り、全身の細胞に感染します。
子どもや青年に感染者や重症者が少なく、高齢者、特に70歳以上で感染・発病しやすく、重症化しやすいことがわかっています。特に、慢性の呼吸器病や脳卒中、高血圧、糖尿病、心臓病があると、ない人よりも2~4倍、重症化しやすいことがわかっています。
こうした慢性の病気をもっている人は、ストレスによって、体に傷ができ、蓄積して、強い炎症反応を起こしていますし、アンジオテンシンIIという血管を収縮させて血圧を上げる物質が体内に増えています。その過剰な反応を抑えるためにACE2という酵素が、体のあちこちの細胞で増えています。
アンジオテンシン系の降圧剤であるARBやACE阻害剤は、さらにACE2を増やします。ARBはそのうえ免疫抑制作用があります。高血圧症が感染リスクを増やすうえに、降圧剤が悪さしている、と考えるべきでしょう。糖尿病用剤のアクトスも同様にACE2を増やします。
降圧剤の中では、カルシウム拮抗剤が免疫を抑制します。そのほか、睡眠剤や安定剤、抗がん剤、ステロイド剤、コレステロール低下剤、PPI なども免疫を抑制するために、新型コロナウイルス感染を悪化させ、死亡を増やす可能性があります。
使用していない場合は新たに使用しないよう、使用している人は必要最小限以外は出来る限り使用しないようにしたいものです。コレステロール低下剤はいつ止めても何の問題もありませんが、睡眠剤やステロイド剤の中止は慎重にしないといけないので、主治医と十分に相談してください。
ダイアモンドプリンセス号乗船者は乗客・乗員あわせて3711人でした。濃厚な接触がある集団でしたので、全員に検査がなされ、年齢別、症状の有無別に感染者の割合、死亡率が調べられています「(図1-Aと図1-B)。
20歳未満がやや例外的ですが、年齢が高いほど有症状者も、無症状者も検査陽性の割合が高くなっています。全年齢では乗船者3711人中3月22日現在で最新の感染者712人なので感染割合は19.2%でした。大雑把にいって、無症状者を含めて、人口の約2割が感染する可能性がある、ということを示しています。
13)14)のデータを用いて作図。ただし、*(全年齢)は3/23日のデータによる。他は2月20日現在のデータによる。無症状者合わせて、人口の約20%が感染する可能性がありうる。
13)のデータを用いて作図
慢性の病気を持っていると重症化しやすいことは、多くの報告が指摘しています。これまで、中国からの報告がほとんどですが、2月28日までの報告5件[9,10,15-17]から、慢性疾患の重症化のリスクの程度を検討しました。その後判明した3月以降発表のデータ[18]も参考にしました。
ICUに入院した人とICUに入院しなかった人との比較[9,10]、重症化した人と重症化しなかった人との比較[15,17]、死亡した人と生存した人の比較[16,18]など様々ですが、いずれにしても、何らかの慢性疾患を持っていると、重症化の危険度が2.7倍程度でした(図2)。
入院したが重篤にならなかった人とICUに入院した(重篤化した)人の比較。あるいは、生存した人と死亡した人との比較である。その結果、重症化の危険度が2.7倍ということである。入院しなかった人と比較するとさらに危険度は高いはず。2020年3月以降出版のZhouら[18]のデータを用いても、総合オッズ比は2.73とほとんど変わらない。
発病しても入院しなかった人や感染しても発病しなかった人と比較すると、慢性疾患を持っていると、さらに重症化の危険度は大きくなると考えられます。
慢性疾患の種類別に、危険度を総合解析した結果を表に示します。慢性呼吸器疾患の人の危険度が特に高いことがわかります。新型コロナウイルスが、重症の肺炎を起こすことと関係があるでしょう。
新型コロナウイルス(SARSコロナウイルス-2または、COVID-19ウイルスともいう)は、2003年に流行したSARSコロナウイルスと同様、アンジオテンシン変換酵素-2(ACE2)という酵素を使って、ヒトの体内に侵入します[19-21]。
前項までに見てきたように、新型コロナウイルスは、高齢者ほどかかりやすく、中でも慢性疾患をもっている人がかかりやすいでのですが、そのことと、このウイルスがACE2という酵素を使って人の体内に侵入することが深くかかわっていると考えられます。そこで、どのように関係しているのか、説明しておきましょう。
まず知っておいてほしいことは、ACE2は腸や肺、脳をはじめ肝臓、腎臓、心臓など、全身のあらゆる組織の細胞表面にある重要な酵素だということです[19-24](図3)。
文献[19]より引用、解説。人の55組織の細胞と血液細胞(6種:赤枠)に発現するACE2の相対的比較。ACE2は、全身の細胞のあらゆる表面に存在し、組織に傷ができると増える。このデータでは肺におけるACE2の発現は少なく見えるが、別の文献[20]では、肺において大腸の3分の1程度の発現が認められている。
ACE2が特に多い臓器は小腸や大腸ですが、肺や腎臓、心臓、肝臓、など全身の臓器の細胞表面に存在します。さらに白血球では、顆粒球をはじめ、免疫反応に大きくかかわっているリンパ球にもACE2は存在します。
例えば、腸は、体中で最もACE2が多い臓器です。腸は内部に細菌が多く、傷つきやすい臓器です。その保護のためACE2が重要な役割を果たしているのです[23]。
そして、新型コロナウイルスは、血中に移行して全身に回り、全身の細胞に感染します[21,24](図4)。脳には、血中を介して移行するだけでなく、鼻から直接移行するルートもあります[21] (図4)。
文献21)(Baig AM et al. ACS Chem Neurosci. 2020 Mar 13. PMID: 32167747 より引用 解説
ストレスがかかり、血管が収縮して血圧が上がり、組織への血の巡りが悪くなっている状態を「虚血」といいます。虚血が続くと、組織に傷がつきます。
昼間できた傷は、夜寝ている間に修復するのですが、昼間にできた傷が大きく、しかも十分な睡眠時間がとれないと、できた傷が治らないうちに朝を迎えることになります。この状態が持続すると、その人の体の弱い部位に傷が蓄積し、それを治すための炎症反応がだんだんと大きくなり、病気として表れてきます。
ストレス・虚血によって傷が皮膚にできれば湿疹や皮膚炎になります。傷が気管支にできれば喘息や慢性閉塞性呼吸器疾患(COPD)、腸にできれば潰瘍性大腸炎、動脈内にできれば動脈硬化や高血圧、心筋梗塞、脳梗塞などとなります。脳内にできればうつ病などにもなります。
ストレスがかかると人は興奮して、アンジオテンシンIという不活性の物質からアンジオテンシン変換酵素(ACE)を使って血圧を上げる活性物質アンジオテンシンIIを作ります。このアンジオテンシンⅡは、体に傷を作るほうに働きます。私たちの体はうまくできていて、アンジオテンシンIIが働き過ぎて体のダメージが大きくなりすぎないようにとブレーキをかけます(炎症抑制・血管拡張)。ACE2という酵素は、このブレーキ役の物質を作るために必要です(図5)。ブレーキ役の物質は「アンジオテンシン1-7」と言います。
また、高血圧になると血流が早くなり、血管の内面をずらすように圧力がかかる(ズリ圧力、英語でshear stress)ために、血管内面に傷がつきやすくなります。そして、血管の内面の細胞の機能を正常に保つための代償反応としてACE2が増えるということが実験で確認されています[26]。
一種の毒素である四塩化炭素でラットに肝障害を起こし、高血圧治療に用いられているACE阻害剤を投与しておくと、ACE阻害剤を与えないラットに比べてACE2がさらに増加していました[25]。
ふつう、軽い高血圧があるくらいでは、それほど重大な病気にはつながらないのですが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、糖尿病や心臓病と同程度に重症化しやすいです(前出の表参照)。これは、高血圧により「ズリ圧力」で血管内に傷ができやすいこと[26]に加え、降圧剤のACE阻害剤やアンジオテンシンII受容体拮抗剤(ARB)がACE2をさらに増やすためです[25,27]。
1型糖尿病で、冠動脈疾患のある人は、ない人に比べてACE2が増えていました[27]。また、糖尿病の患者のうちACE阻害剤やARBを使っている人は、使っていない人に比べて、やはりACE2が増えていました。
合併症を抱えていると、病気になった臓器でACE2がふえているため、感染しやすく、また、重症になってしまうというわけです。
一方、若くて合併症のない人には、比較的不顕性感染も、発病も少ないのは、ACE2があまり増えていないためでしょう。若い人で重症化している場合は、やはり、何らかの病気を持っています。
したがって、合併症を持っていない人は、これまでに述べてきたことに注意していれば、今回の新型コロナウイルスを過剰に恐れる必要はないといえます。
もちろん、感染を極力避けるために「密閉」「密集」「密接」を避ける行動は必須です。
非ステロイド抗炎症剤(NSAIDs)やステロイド剤など炎症を抑える物質は、ウイルスなど病原体からの体の防御能力をそぐために、どのような感染症でも悪化させます。
これらの薬剤は、ウイルスなど病原体との闘いを一時的に止めるために、一見体は楽になります。しかし、その間にウイルスは体の奥のほうに入り込んで、増殖するために、体はより多くのサイトカインを出して、より一層、症状が重くなるのです。いわゆるサイトカイン・ストーム(サイトカインの嵐)が吹き荒れるためです。非ステロイド抗炎症剤であるイブプロフェンやロキソニンは、その典型です。
WHO[4]が当初イブプロフェンを新型コロナウイルス感染では避けるようにといった際に引用したLancetの記事[28]では、イブプロフェンがACE2を増やすことを理由として挙げてあります。しかし、その根拠となったと思われる論文は調べた限りでは一つしか見つかりませんでした[29]。しかも感染症に使ったものではありませんでした。
したがって、イブプロフェンをはじめNSAIDsは、AEC2を増やすことよりも、体温低下と抗炎症作用によってサイトカイン・ストームを招くことがはるかに重要な理由と考えます。
抗がん剤やステロイド剤のほか、リウマチや膠原病などに使う免疫抑制剤はもちろん、ウイルスと闘う体の反応をそぐため、新型コロナウイルスを悪化させます。
アトピー皮膚炎の人は、ステロイド外用剤だけでなく、免疫抑制剤のプロトピック軟膏が使われていることもあります。この場合はさらに危険です。
抗がん剤やステロイド剤、あるいは、いわゆる「免疫抑制剤」は免疫抑制作用が明らかでわかりやすいですが、直接的には免疫抑制剤でなくとも、免疫を抑制する薬剤は、たいへん多いのです(くわしくは、薬のチェック(薬のチェックTIP)各号、のんではいけない薬大事典、「薬のやめ方」事典、読んでやめる精神の薬、などを参照ください)。
やるべきことの5番目の裏返しです。発熱している時は、ひたすら休養が必要です。感染していない通常の時期には、昼間は適度な運動をして、夜は十分に時間をかけて睡眠をとり、ストレスをため込まないことが重要です。睡眠不足は最大のストレスなのです。
睡眠不足、ストレス過剰な状態は、交感神経が活発になり免疫を抑制しています。そのため、体のあちこちの血管が収縮し、酸素や栄養の供給不足になります。これが「虚血」で、組織に傷ができます。傷ができた部位ではACE2が多くなり、新型コロナウイルスが侵入しやすく、発病しやすく、重症化しやすいのです。
夜は、交感神経が鎮まり、副交感神経が活発になり、免疫が活発になります。昼間できた傷は、夜寝ている間に、免疫力で、朝起きるまでに治します。しかし、昼間のストレスが強過ぎる場合や、睡眠時間が短すぎると、昼間できた傷が治りきらず翌日に持ち越され、蓄積してきて炎症を生じ、体の各部位で異常が起こります[5,6]。これが、病気そのものです。
異常が起こる部位は異なっても原因は似ています。