(2020.06.28号)
『薬のチェック』速報No189
レムデシビル(商品名ベクルリー)
COVID-19に無効の可能性が大きい
NPO法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック)編集委員会
薬のチェック速報188号(2020.5.14号)で、COVID-19に対して特例承認されたレムデシビルについて取り上げました。
その後、査読雑誌に掲載された論文が公表されたので、薬のチェックNo90(2020年7月号)で取り上げました。
薬のチェック速報188号で検討不十分であった部分や、誌面の都合で薬のチェックNo90のレムデシビルの記事では示すことができなかった査読論文の問題点の詳細を、スライドに示します。薬のチェックNo90の記事と合わせて、ご覧ください。
薬のチェックNo90のレムデシビルの記事
まとめ
- レムデシビル(商品名ベクルリー)は、最初、エボラウイルス感染症用に開発が進められていましたが、結局は無効であった抗ウイルス剤です。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対し日本では、申請からわずか3日後に「特例」で、世界で初めて正式承認されました。
- レムデシビルのCOVID-19への効果と安全性を検討したプラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)がこれまでに3件実施されています。そのうち査読論文として公表されたのは重症のCOVID-19に使用した2件です。
- 中国武漢のRCT(武漢RCT)では、レムデシビルはプラセボに比較して症状も死亡も減らしませんでした。
- 米国国立研究所が主導したRCT(ACTT-1)では、試験開始時の重症度が軽症・中等症にも、人工呼吸器装着例など非常な重症例にも症状改善効果はなく、死亡減少効果もありませんでした。酸素吸入を要するけれども人工呼吸器は不要な程度の重症例にのみ有効でした。しかし、この重症例の症状改善と生存率が、プラセボ群で不自然に悪く、レムデシビル群では不自然に良いため、何らかのバイアスの疑いがありデータ全体に信頼性が乏しいRCTです。
- 5日間使用と10日間使用を比較したSIMPLE試験では、回復例が、10日間使用群よりも5日間使用群に有意に多いという結果でした。ある治療法が有効な場合には長期間使用のほうが本来は良い結果なのですが、逆の用量-反応関係がみられました。
- 日本におけるレムデシビルの特例承認では、武漢RCTの結果を除外し、SIMPLE試験の逆用量-反応関係も無視し、背景にバイアスのありそうなACTT-1の結果のみを根拠としています。
結論:無効の可能性が大きい。使うべきでない。
市民患者が「ほんまもん」の情報を持つことが真の改革につながる
薬の「ほんまもん」情報は『薬のチェックは命のチェック』
で!!