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 最高血圧がいつも100mmHgよりも低いのが「低血圧」だ。

 なんとなくだるい、ふらつくといった症状を覚えることもあるが、高血圧と違い、心臓病や脳出血を招いたり、寿命を縮めたりすることはあまりない。血圧降下剤で低くなりすぎている場合は問題だが、もともと低血圧の人は90台でも無症状のことも多い。最低血圧の方では60未満は低めだが、こちらも特別な場合を除き、重い病気に直結しない。後述するような症状が伴わなければ、低血圧は基本的に薬で治療する必要はない。

 急に立ち上がるとくらっとする「立ちくらみ」は、「起立性低血圧」という症状だ。立った時の血圧が、横になって測るより20以上も低くなる。屈強な青年にも起きるが、どちらかというと、やせた、特に高齢の女性に起きやすい。血管を支える脂肪や筋肉が薄いためと考えられる。たいていはすぐ回復するので、頻繁でなければ気にすることはない。防止対策としては、「どっこらしょ」とかけ声でもかけながら、下腹に力をいれてゆっくりと立ち上がるとよい。

 しかし、一時的な低血圧も時に怖い。冷や汗、手足の先が冷たい、呼吸困難や高熱、意識が無くなるなどの症状を伴い、急にふだんよりも30以上血圧が下がったり、90未満になったりした時は、ショック状態と考えられる。

 また、血圧がストンと落ちる病気には、心臓が急に止まったり、心拍が異常に速くなったりすると同時に、ガクッとひざまずいたり、目の前が暗く意識がなくなったりするアダムス・ストークス症候群もある。

 いずれもすぐ受診が必要だ。

 慢性的低血圧は、原因がはっきりしないものが圧倒的に多いが、中にはホルモンの不足や脳の働きの不調、糖尿病による自律神経の不調、あるいは血圧を下げる薬や抗不整脈剤、ある種の精神安定剤が原因のこともある。頻繁に立ちくらみして、仕事や生活に支障がある場合には、放置してはいけない。

 これまで低血圧だったのに、急に血圧が高くなったという人がたまにいる。こういった場合も、腎臓やホルモンの不調、薬剤の影響などがありうる。

 血圧は健康のバロメーター。きちんと検査を受け、原因を探って、それに見合った治療を受けることが大切だ。


薬の診察室 (朝日新聞家庭欄に2001年4月より連載)  医薬ビジランスセンター
                                  浜 六郎