特定非営利活動法人
医薬ビジランスセンター (略称:NPOJIP)の活動について
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2003年4月で医薬ビジランスセンターJIPは開設6年目を迎えました。特定非営利活動法人医薬ビジランスセンター(NPOJIP)としては4年目になります。医薬ビジランスセンターJIPの3年間(1997年〜99年)の活動を簡単に紹介するとともに、NPOJIP発足後の活動と今後の抱負もご紹介いたします。
特定非営利活動法人 医薬ビジランスセンター
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理事長 浜 六郎
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事務局長 坂口 啓子
〒543-0062 大阪市天王寺区逢阪2-3-2、JNビル402
TEL:06-6771-6345 FAX:06-6771-6347 |
JIPの3年間の活動 |
【1】医薬ビジランスセンターJIPの3年間の主な取り組み(年月順) |
【2】これまでの活動の実績 |
【3】研究結果情報の提供、公表および普及 |
【4】医薬ビジランスセンターJIPの3年間の取り組み(特筆事項、その他) |
(1)第1回 医薬ビジランスセミナーの開催(JIP/TIP主催) |
(2)第2回 医薬ビジランスセミナーの開催(JIP/TIP主催) |
(3)医薬品評価検討会の定例化
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(4)インフルエンザ脳症の主要な原因と思われる非ステロイド抗炎症剤系解熱剤 |
(5)TIP誌に掲載した医薬品に関する主要な記事(1999年1月〜2000年4月) |
(6)薬害オンブズパースンからの調査委託研究および取り上げられた医薬品 |
(7)講演会など
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NPOJIPについて |
【1】特定非営利活動法人医薬ビジランスセンターの目的と事業(定款より抜粋)
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特定非営利活動法人医薬ビジランスセンターの事業報告 |
【1】2000年度(2000年4月7日〜12月31日) |
【2】2001年度(2001年1月1日〜12月31日) |
【3】2002年度(2002年1月1日〜12月31日) |
【4】2003年度(2003年1月1日〜12月31日) |
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Copyright (C)2000 by NPOJIP All Rights Reserved.
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JIPの3年間の活動 |
【1】医薬ビジランスセンターJIPの3年間の主な取り組み(年月順)
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1997年4月1日 |
医薬ビジランスセンターJIP設立
薬害オンブズパースンから医薬品・治療研究会(TIP誌)への調査委託あり、医薬品・治療研究会(TIP誌)を通じJIPに調査委託を受ける(ベロテックの安全性評価) |
6月1日 |
薬害オンブズパースン設立と同時に、医薬専門家として参加 |
9月20〜22日 |
大阪大学にて第1回医薬ビジランスセミナー開催 約500人の参加を得た |
10月7〜12日 |
第5回コクラン国際会議(アムステルダム)に参加 |
12〜30日 |
オクスフォードにて Evidence-Based
HealthcareやEBMの情報収集と、TIP誌提携機関との交流をはかる |
11月7〜9日 |
日本薬剤疫学会出席、演題発表 |
12月11〜12日 |
日本臨床薬理学会出席、演題発表 |
1998年1月〜5月 |
原因不明の急性脳症調査委員会への協力
・調査方法や解析についての助言 浜 ・遺族や患者家族へのインタビュー 坂口 |
4月26日 |
シンポジウム「医療と人権」共催(高槻市で開催) |
6月19日 |
EBMセミナー共催(大阪千里で開催) |
8月1日 |
NHK、BS討論出演(浜) |
11月6〜7日 |
日本薬剤疫学会出席、演題発表 |
19〜21日 |
日本臨床薬理学会出席、演題発表と座長を務める(浜) |
1999年2月10日 |
オーストラリア治療ガイドライン委員会(著)「抗生物質治療ガイドライン」を医薬品・治療研究会で翻訳、医薬ビジランスセンターJIPから発行 |
9月30日 |
オーストラリア治療ガイドライン委員会(著)「消化器治療ガイドライン」を医薬品・治療研究会で翻訳、医薬ビジランスセンターJIPから発行 |
10月2〜3日 |
大阪大学にて第2回医薬ビジランスセミナー開催、約300人の参加を得た |
10月6〜11日 |
第6回コクラン国際会議(ローマ)に参加 |
11月13〜12日 |
日本薬剤疫学会出席、演題発表 |
23日 |
特定非営利活動法人医薬ビジランスセンター(NPOJIP)設立総会 |
12月2〜3日 |
日本臨床薬理学会出席 |
28日 |
特定非営利活動法人医薬ビジランスセンター申請 |
2000年3月5日 |
特定非営利活動法人医薬ビジランスセンターの準理事会を開催、正式発足後の活動について討議し、7月に設立記念シンポジウムの開催を決定 |
3月31日 |
特定非営利活動法人医薬ビジランスセンター承認証受理 |
4月7日 |
法務局へ特定非営利活動法人医薬ビジランスセンターの登記申請 |
6月予定 |
オーストラリア治療ガイドライン委員会(著)「鎮痛・解熱治療ガイドライン」を医薬品・治療研究会で翻訳、医薬ビジランスセンターJIPから発行予定 |
7月2日 |
NPOJIP設立記念シンポジウム開催 |
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【2】これまでの活動の実績
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・コクラン共同計画への参加
・JANCOC(日本のコクラン共同計画連携組織)への参加
・薬価国際比較研究
・1994-1996 年承認新薬、売り上げ上位のJIP/TIP基準による評価
・ローカルドラッグ(日本独自の薬剤)の評価
・薬効別、国際標準薬との比較評価調査(脳循環代謝改善剤、抗潰瘍剤)
・解熱鎮痛剤に関する使用実態調査
・抗生物質使用に関する専門医に対する実態調査
・医療裁判の相談、鑑定書/鑑定意見書作成
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【3】研究結果情報の提供、公表および普及 |
(1)TIP大阪事務所として委託された業務
TIP誌(月刊誌、A4版12ページ)記事作成のための調査研究、執筆、校正等
(2)医薬品監視市民組織への情報提供
・薬害オンブズパースンからTIP誌を通じて委託された調査研究
ベロテックエロゾル、H2ブロッカー、トログリタゾン(ノスカール)
トリルダン、脳循環代謝改善剤
(3)学術誌、一般誌、新聞での連載
・medicina 「副作用情報シリーズ連載・・生命にかかわる危険な害反応」
1996年1月〜1998年12月 合計32回にて終了
・月刊薬事 「患者の訴えから気づく薬の副作用」
1997年1月〜2000年4月現在 合計33回連続中
・日経新聞 夕刊(毎月曜日) 「病院で聞く言葉」シリーズ
1997年4 月〜2000年2月、合計 138回にて終了
・
全国保険医新聞 月2回「いま医薬品を見直そう」シリーズ
1997年6月〜 2000年5月現在 第55回連載中
・月刊いのちジャーナル 「こんな薬にハマるなよ!」
1997年12月〜 隔月連載中
(4)一般出版物の執筆
・「薬害はなぜなくならないか」(日本評論社、1996年、勤務医時代に執筆)
・「世界のエッセンシャルドラッグ」(翻訳監修、三省堂、2000年)
(5)専門書翻訳、発行
既刊:オーストラリア治療ガイドラインシリーズ
「抗生物質治療ガイドライン」
「消化器疾患治療ガイドライン」
「鎮痛・解熱剤治療ガイドライン」
呼吸器疾患治療ガイドライン(9月予定)
循環器疾患治療ガイドライン(11月予定)
いずれも医薬品・治療研究会翻訳、医薬ビジランスセンターNPOJIP発行
(6)医薬品治療に関連する相談受付
特に広報しているわけではないが、電話相談、FAXでの相談など多数ある。
まだ、定期的な相談日は設けていない。
(今後の課題:人材の確保、相談の範囲など)
(7)人材の養成:セミナーや研修会、勉強会を通じて人材の育成を図る
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【4】医薬ビジランスセンターJIPの3年間の取り組み(特筆事項、その他) |
(1)第1回 医薬ビジランスセミナーの開催(JIP/TIP主催) |
1997年9月20〜22日の3日間、大阪大学で開催したところ、全国から500
人の参加を得た。医療者、研究者と患者・市民が大学のキャンパスで医薬品問題を熱心に討議した。その後このセミナー参加がきっかけとなって、種々の患者、市民と研究者、専門家との交流の輪が広がった。(報告集「くすりのチェックは命のチェック」参照) |
(2)第2回 医薬ビジランスセミナーの開催(JIP/TIP主催) |
第1回医薬ビジランスセミナーはテーマを幅広く薬害全体に設定したが、第2回医薬ビジランスセミナーは、抗生物質治療のあり方をメインテーマに、1999年10月2〜3日の2日間、大阪大学で開催。全国から約300人の参加を得た。前回同様、医療者、研究者と患者・市民が大学のキャンパスで医薬品問題を熱心に討議した。
(年度内に報告書発行予定) |
(3)医薬品評価検討会の定例化 |
JIP設立前から医薬品・治療研究会(TIP)大阪事務所として、不定期に医薬品の評価検討会をもっていたが、JIP設立とともに月例会とし、第1回医薬ビジランスセミナーの開催が可能となった。また、TIP誌への投稿が定期化した。 |
(4)インフルエンザ脳症の主要な原因と思われる非ステロイド抗炎症剤系解熱剤 |
非ステロイド抗炎症剤系解熱剤の使用中止をよびかける。従来からTIP誌や、医薬ビジランスセミナーでも再三にわたって取り上げてきた非ステロイド抗炎症剤系解熱剤(ポンタール、ボルタレン、メチロンなど)は、欧米でのライ症候群の原因としてのアスピリンに相当すると考えられることから、中止すべきと考えてきた。1999年12月に厚生省の研究班から脳症とこれら薬剤との関連を示唆する重要な結果が出るなど、疫学的にも、また病態の解明の点でも、インフルエンザ脳症と非ステロイド抗炎症剤系解熱剤との関連を支持する事実がますます多数集積されてきている。
NPO医薬ビジランスセンターとして、この問題の医学的、疫学的解明に向けての研究の推進(コクラン共同計画、薬剤疫学会、小児科学会など)はもちろん、各種医学会や厚生省、医師会などへの働きかけとともに、被害者や市民との連携を強めて、この問題の解決にむけて、精力的に取り組む予定である。
このようなこともあり、本年7月2日(日)に開催予定のNPO医薬ビジランスセンター設立記念シンポジウムでは、この問題をテーマとして取り上げることにしている。
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(5)TIP誌に掲載した医薬品に関する主要な記事(1999年1月〜2000年4月) |
1999年1月 |
・ライ症候群と解熱剤
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2月 |
・医薬品関連の規制緩和について(医薬品・治療研究会)
・臨床試験論文公表は承認の要件から外すべきではない
・新「統計原則」の変更点・・(医薬品・治療研究会)
・抗生物質予防投与に関するアンケート結果 |
3月 |
・インフルエンザの予防と治療 ・アマンタジンを中心に(谷田、浜)
・インフルエンザと解熱剤
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4月 |
・臨床試験と企業の知的所有件(医薬品・治療研究会)
・トログリタゾンは中止しなければならない |
5月 |
・インフルエンザワクチンにエビデンスはあるか?(山本) |
6月 |
・プラバスタチン(メバロチン)は本当に Evidence-Based か? |
7月 |
・高血圧治療薬の正しい使い方(Prescrire) |
8・9月 |
・高血圧に対するWHOの欠陥指針(Prescrire)
・正露丸の安全性(危険性)について |
10月 |
・抗生物質治療ガイドライン ・オーストラリアでの教訓(M
Hemming) |
11月 |
・米国の連邦情報自由法(FOIA):33年間の経験から得た教訓(A
Frost) |
12月 |
・プラステロン硫酸ナトリウム(マイリス):その有効性と安全性(危険性)に関する研究(1)
(浜、八重) ・インフルエンザ・ワクチンに関するQ&A |
2000年1月 |
・ザナミビル(リレンザ)のエビデンス(問題点を指摘)(NICE,Prescrire)
・インフルエンザ脳炎・脳症予防にアセトアミノフェン以外の解熱剤の使用中止を |
2月 |
・プラステロン硫酸ナトリウム(マイリス):その有効性と安全性(危険性)に関する研究(2)・・・とくにその危険性について・・
(浜、八重) |
3月 |
・NSAIDsは解熱剤として中止を ・日本小児科学会運営委員会「インフルエンザ関連脳症についての見解」に対する公開質問状発送に際して訴える(小児科医師有志) |
4月 |
・遅すぎたトログリタゾン(ノスカール)の回収
・ピオグリタゾン(アクトス)はさらに危険と考えるべき
(括弧内は執筆者、無記名は医薬ビジランスセンター浜) |
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(6)薬害オンブズパースンからの調査委託研究および取り上げられた医薬品 |
薬害オンブズパースンから医薬品・治療研究会に、特定の医薬品に関する有効性と安全性の評価検討のための調査が委託されている。医薬品・治療研究会は、医薬ビジランスセンターとともに調査・研究を実施して、検討結果を薬害オンブズパースンに対して報告している。
これまでに委託された調査および、薬害オンブズパースンの活動に関与した薬剤は、以下のとおりである。
1)ベロテックエロゾル(調査委託研究) 薬害オンブズパースンより委託を受けて調査研究、極めて有害であることが明瞭となり、厚生省や企業に中止を要請。マスメディア、パソコン通信などでも議論を展開。
ベロテックエロゾルの使用量が半減するとともに喘息死亡率は40%減少。年間約120人の5〜34歳の喘息患者を死亡から救ったと推定された。
2)脳循環・代謝改善剤(従来から検討していた結果が取り上げられた)
脳循環・代謝改善剤が無効である(厳密には、有効性が実証されていない)ことをTIP誌では10年前から提唱してきたが、その後もTIP誌でこの問題を扱ってきたところ、厚生省も効かないことを公式に認めるに至った。薬害オンブズパースンのタイアップグループの講演会で市民の運動として、「無効の薬剤の費用の返還を求めては?」と提唱したところ、タイアップグループ、薬害オンブズパースンの全体の取り組みに発展している。
3)H2ブロッカー(従来から検討していた結果が取り上げられた)
H2ブロッカーがOTC薬に切り換えられるに際して、その安全性の問題をTIP誌において指摘していたが、薬害オンブズパースンが取り上げた。
4)トリルダン(テルフェナジン:従来から検討していた結果が取り上げられた)
本来は単なる眠気の少ない抗ヒスタミン剤であるトリルダンが、抗アレルギー剤として、高薬価(イギリスの11倍)で売られている。喘息薬としての効果の根拠なく(ランダム化比較試験が不適切)、予測不能の不整脈が生じることから、中止すべきことをTIP誌に掲載していたのを薬害オンブズパースンが取り上げた。
5)ノスカール(血糖降下剤、トログリタゾン、一部委託研究)
ノスカールは特異な薬理作用を持つとされ高価な薬価がつけられ、年間100
億円もの売り上げとなった。その危険性を発売1年以内に指摘し、使用中止を呼びかける論文をTIP誌に合計5回にわたり公表するとともに、薬害オンブズパースンでも検討した。99年3月には、イギリスでトログリタゾンの販売の再申請が却下されたことを受けて、改めて中止をよびかけた。2000年3月には、アメリカでも販売が中止され、日本でも3月22日に使用中止となった。しかし、製造承認の取り消しまでには至っていない。そこで、代替薬剤「アクトス」の評価検討を行い、TIP誌2000年4月号に、ノスカールは承認を取り消すべきこと、代替薬剤「アクトス」も使用を中止し、承認取り消しすべきとの結論の論文を掲載した。アクトスはまだ薬害オンブズパースンではとりあげてはいない。
6)正露丸(調査委託研究) 正露丸の問題点が以前から指摘されていたが、薬害オンブズパースンに検討依頼があり、医薬品・治療研究会と医薬ビジランスセンターで検討を加えた。その毒性は許容できず、臨床効果は適切な臨床試験で証明されていないことから、中止すべきとの結論となった。マスコミでも多方面から取り上げられた。
7)マイリス(調査委託研究) 一部で問題にされていた薬剤であるが、薬害オンブズパースンに対して検討依頼があり、それを受けて医薬品・治療研究会および医薬ビジランスセンターで検討を加えた。その結果、マイリスは、体内で女性ホルモンに変化して頸管を熟化することをねらった薬剤だが、早く生まれすぎること、このため、安産になるどころか、逆に障害を生じる傾向が臨床試験でも認められ、動物実験では流産に相当する現象、死産や新生児死亡に相当する現象が認められている。臨床用量での危険性は具体的に予想され、長期の危険性も推察された。承認すべきでなかった薬剤であり、使用中止、承認取り消しをすべき薬剤と考えられた。
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(7)講演会など |
日本医師会、各府県医師会、各府県保険医協会、各府県薬剤師会、弁護士会、薬害防止に取り組む各市民団体(例、医療の安全を考える会、メディオ)、NIRA、薬害オンブズパースンを支える各地の市民組織タイアップグループや、その他の市民組織や保健所などでの講演、マスコミ各社への医療と薬害に関するアドバイス、原稿などを通じて、積極的に医療に関する情報を提供するとともに、薬害/医療被害発生の防止を呼びかけた。
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NPOJIPについて |
【1】特定非営利活動法人医薬ビジランスセンターの目的と事業(定款より抜粋) |
目的 この法人は、医薬品、および医薬品使用、医薬品行政に関する情報収集、調査、研究を行ない、その活動の成果を医療関係者および市民に還元することにより、薬害を防止し、科学的に確かな証拠に根ざした患者・市民にとって意味ある適切な医療の普及をはかり、医療の向上に努めることを目的とする。
事業
1.治療ガイドライン等刊行物、情報媒体等の編集、発行
2.セミナー、研修会等の開催
3.定期刊行物(機関誌、情報誌)の編集、発行
4.インターネットウェブサイトによる情報提供
5.医薬品に関する情報の収集、調査、研究
6.医薬品使用に関する情報の収集、調査、研究
7.医薬品行政に関する情報の収集、調査、研究
8.医薬品、医薬品使用等に関する相談業務等
9.その他、目的を達成するために必要な事業
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特定非営利活動法人医薬ビジランスセンターの事業報告
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【1】2000年度(2000年4月7日〜12月31日) |
- 活動の主な成果
2000年7月2日(日)に、特定非営利活動法人設立を記念してシンポジウムを大阪市中央区の御堂会館で開催。「解熱剤で脳症にならないために−非ステロイド抗炎症解熱剤の危険について考える」をテーマに、患者やその家族、一般市民をはじめ、医師、薬剤師、看護婦、医薬関係の学生、マスコミ関係者など幅広い層から約200人が参加して、活発な討議を繰り広げた。
- 活動内容
- EBM治療ガイドラインシリーズの編集、発行
『鎮痛・解熱治療ガイドライン』を2000年7月に発行
- セミナー、研修会、研究会等の開催
- 設立記念シンポジウム
- 大阪市中央区の南御堂で7月2日(日)に開催
- 医薬ビジランス研究会
- NPOJIP事務所にて毎月第3金曜日午後7時30分から約3時間、NPOJIPの正会員が中心となって医薬の勉強会を開催。ここでの情報交換や検討結果が、NPOJIPやTIP誌の活動に生かされる
- インターネットウェブサイトによる情報提供
刊行物だけでなく、インターネットでも、市民に医薬に関する偏りのない正確な情報を提供し、同時にNPOJIPの存在を広く知ってもらうために、ウェブサイトを8月1日から開設( http://npojip.org)。
- 医薬品に関する情報の収集、調査、研究
- 1997〜2000年に承認された新薬についての情報の収集、再評価研究
- 上記の期間に承認された新薬に関し、承認に至るまでの臨床試験論文等を含む文献等を各製薬会社へ請求し、検討。
- 医薬品使用に関する情報の収集、調査、研究
- 7月2日のシンポジウムで採択した「要望書」を厚生大臣と日本薬剤疫学会理事長宛に提出した。その後も何度か厚生省の所轄部署へ足を運び、子どもの解熱に非ステロイド抗炎症鎮痛解熱剤は使わないこと、やむを得ず使用するならばアセトアミノフェン、大人でもなるべくアセトアミノフェンがよいことを訴えた。
- 糖尿病用新薬ノスカール(トログリタゾン)の使用中止を訴えていたところ、2000年2月に中止となった。その後、ノスカールよりもさらに危険ありとして中止を訴えていたアクトス(ピオグリタゾン)で重症心不全が起きたことが2000年10月に厚生省から報告された。そこで、その危険性を考慮して、アクトスは製造販売中止、回収すべきとの論文をTIP誌に掲載するとともに、厚生省および製造メーカーにも要望書を提出した。
- 鼻水、鼻づまり軽減剤のフェニルプロパノールアミンが米国で中止となったことから、その疫学調査結果を分析し、危険を確認したため、日本でも販売中止するべきとの論文をまとめてTIP誌に掲載するとともに、厚生省に要望した。
- 薬害エイズの安部被告の無罪判決(2001年3月28日)に対して、医学的予見可能性の観点からの、判決理由批判をホームページに速報した(4月2日)。
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【2】2001年度(2001年1月1日〜12月31日) |
- 活動の主な成果
医薬に関する正確な情報を市民にはもちろん医療関係者も含めて広く伝えるため、一般書店での販売も視野に入れた医薬に関する情報誌の編集発行を企画していたが、2001年1月に『薬のチェックは命のチェック』創刊号を発刊することができた。
同時に、2000年7月の法人設立記念シンポジウムでの内容に一般の方々の疑問に直接答えるための豊富なQ&Aを追加した、NPOJIPブックレットbP『解熱剤で脳症にならないために』も2001年1月に発行した。
- 活動内容(2000年度と同様のものは省略)
- 書籍の発行
- 1月
- NPOJIPブックレットbP『解熱剤で脳症にならないために』
- 5月
- 『呼吸器疾患治療ガイドライン』
- 12月
- 『向精神薬治療ガイドライン』
- 『薬のチェックは命のチェック』を編集発行
第1号:糖尿病、第2号:コレステロール、第3号:高血圧、第4号:肝炎とインターフェロン
- 医薬品に関する情報の収集、調査、研究
- 1997〜2001年に承認された新薬についての情報の収集、再評価研究
- 上記の期間に承認された新薬に関し、承認に至るまでの臨床試験論文等を含む文献等を各製薬会社へ請求した。このうち、糖尿病用剤は、「薬のチェックは命のチェック」第1号の特集「糖尿病」で取り上げ、検討した。以下同様に、コレステロール低下剤は同じく第2号の特集「コレステロール」で、降圧剤は第3号の特集「高血圧」で、インターフェロンは第4号の特集「肝炎とインターフェロン」で、というように季刊誌の特集に成果を生かしている。また、同時にTIP誌にも専門家向けにより詳細にそれぞれの治療方法や薬剤に関して論じた。
- 個別の医療および医薬品に関する相談業務
電話やファックスおよび郵便による問い合わせへの返答など。定期的業務ではない。相談に応じる人員が現在のところ確保できていないので電話での相談はよほど緊急を要すると判断したもの以外は応じていない。手紙またはファックスや電子メールでの相談を受け付け、数カ月遅れで順次返事をしているのが現状。
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【3】2002年度(2002年1月1日〜12月31日) |
- 活動の主な成果
「第3回医薬ビジランスセミナー」を10月28日〜29日の2日間、大阪市此花区の此花会館で開催。テーマは「これが日本の必須薬 あなたの薬大丈夫?」。一般の方々から医療関係者まで2日間で延べ 550人の参加があった。ゲストは、国境なき医師団必須薬キャンペーンプロジェクトコーディネーターであるエレン・トゥーンさんとWHO欧州医療技術評価コンサルタントのデビッド・バンタさんを招いた(それぞれの講演要旨はTIP誌2002年10月号と11月号に掲載)。
- 活動内容(前年度と同じものは省略)
- 『薬のチェックは命のチェック』の編集発行
第5号(特集:抗生物質)、第6号(抗生物質その2)、第7号(必須薬)、第8号(喘息と必須薬)を順次発行。
- 『抗生物質治療ガイドライン(改定版)』を翻訳出版(2002 年9月)
- 医薬品に関する情報の収集、調査、研究
- 第3回医薬ビジランスセミナーのテーマを「必須薬」としたことから、日本の必須薬を選定するための情報を精力的に収集、調査、分析した。
- 「薬のチェックは命のチェック」各号(抗生物質、必須薬、ステロイド等)のテーマに応じた情報を収集、調査し、分析した。
- 医薬品使用に関する情報の収集、調査、研究
抗生物質の手術直前1回法の普及程度について、阪大医学部の学生実習として、2001年〜2002年にかけて実施した。2年前の状態と基本的には変わりなく、大病院、大学病院においてかえって普及状態が不良(40%)であることが判明。
- 国際医薬品情報誌協会(ISDB)への加盟、運営委員に選出される
『薬のチェックは命のチェック』が、2002年1月からISDBの正式メンバーとして承認された(日本では、TIP『正しい治療と薬の情報』についで2番目)。
- 医薬品使用の実際面への具体的な成果
- 非ステロイド抗炎症解熱剤による大人の脳症
- 非ステロイド抗炎症解熱剤による大人の脳症が医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構により医薬ビジランス研究所の意見書どおりに認定された(2002年11月。別の40歳代男性も2003年1月に認定)。これまでの常識(脳症は小児のみ)を打ち破る画期的な認定である。ブックレット『解熱剤で脳症にならないために』の増刷(2003年2月)の際にこのことを追記し、マスメディアでも取り上げられた。
- イレッサと独立行政法人医薬品総合機構
- 本来国が実施すべき医薬品審査・規制や安全対策業務を、企業人を大幅に採用する独立行政法人に移行する法案が2002年10月に突然浮かび上がってきた。これに対し、NPO法人医薬ビジランスセンターは、真先に最大の問題点を指摘。12月2日には、浜理事長が、参議院厚生労働委員会において参考人として発言。迅速承認され多数の死亡者を出したイレッサの承認上の問題点を指摘した。イレッサの問題点を『薬のチェックは命のチェック』と、そのインターネット速報版に継続して掲載。
- サリドマイド
- サリドマイドの個人輸入による多発性骨髄腫などへの使用が注目され、医薬ビジランス研究所に薬害オンブズパースン会議から委託された調査研究結果を『薬のチェックは命のチェック』No9 やホームページに掲載している。
- フッ素
- う歯予防のためのフッ化物使用が行政や歯科専門医により推進されつつある。薬害オンブズパースン会議から委託された医薬ビジランス研究所による研究結果を『薬のチェックは命のチェック』(No8)および、ホームページに掲載している。
- 抗生物質
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- 手術時の抗生物質1回予防使用法
調査結果を『薬のチェックは命のチェック』誌、TIP誌でとりあげ、厚労省に要望した。マスメディアでも取り上げられた。
- 抗生物質皮内テストの必要性
アナフィラキシー・ショック予知に皮内テストが重要性であることを調査分析。『薬のチェックは命のチェック』やTIP誌で扱い、各方面に訴えた。
- コレステロール
- 動脈硬化学会でコレステロール値の基準変更に際して、意見書を提出した。ホームページ上に掲載している。
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【4】2003年度(2003年1月1日〜12月31日) |
- 事業の成果
- 医薬品情報誌、ガイドライン等出版物の編集・発行
- 『薬のチェックは命のチェック』の編集発行
2001年1月に創刊した一般および専門家向け医薬品情報誌『薬のチェックは命のチェック』は2003年度は
第9号(特集:ステロイド剤)、第10号(ステロイド剤パート2)、第11号(睡眠剤と安定剤)、
第12号(かぜとインフルエンザ)と順調に発行した。
- EBM治療ガイドラインシリーズの翻訳・発行
オーストラリアのISDB所属情報誌「治療ガイドライン委員会」が編集発行する
EBMに則った治療ガイドラインシリーズの翻訳発行権を、旧医薬ビジランスセンターから引き継ぎ、
翻訳・発行しているが、2003年度の新規ガイドライン発行はできなかった
(ただし『皮膚疾患治療ガイドライン』は、2004年1月31日発行、
『神経疾患治療ガイドライン』も2004年度内に翻訳刊行の予定である)。
- 医薬品使用の実際面への具体的な成果
- かぜ、インフルエンザ、抗炎症解熱剤、タミフルの問題点
- 『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報No8(2003.1.31)として掲載
- 『薬のチェックは命のチェック』No12「かぜとインフルエンザ」(2003.12)出版
- 『医者には聞けない−インフルエンザ・ワクチンと薬』ジャパンマシニスト社(2003.12)
- イレッサ
イレッサの危険性について分析した結果を『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版として、
連続して掲載し、それをまとめて TIP誌『薬のチェックは命のチェック』に随時解説して紹介。
また厚生労働省に対して、2003.2.28使用中止を要望するとともに、
開示されていない毒性データや臨床試験のデータの公開を求めた。
これらの成果もあって、イレッサの使用量は減少してきた。
- サリドマイド
日本医薬品情報学会主催、厚生労働省後援による
「医薬品サリドマイドを考えるシンポジウム」(2003.1.15)等で、
浜理事長がシンポジストの一人として参加し発言。
- プロトピック軟膏
小児用のプロトピック軟膏の承認前に、その安全性について分析し問題点を指摘。
その結果4点にわたる厳しい承認の条件がつけられた。
マスメディアにも再三取り上げられた(読売新聞、サンデー毎日等)。
『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版(No18〜27、29、31、33〜36)に
問題の詳細を指摘し、『薬のチェックは命のチェック』No11、No12、TIP誌(2003.6、7、8/9、12)
でも取り上げた。
- ゴールデン・ピル賞
2002年に開催した第3回医薬ビジランスセミナーで取り上げたゴールデン・ピル賞を
『薬のチェックは命のチェック』No9に公表。また、
これが専門家向け(メディカル朝日、日経メディカル、ナーシングトウデイ)や一般メディア
(AERA)でも取り上げられ、注目を集めた。
- その他
- ジゴキシン調剤ミスによる乳児の死亡について情報を提出。
- 「くすりの危険情報」の報告基準に関する厚生労働省案に対する意見書提出(2003.10.23)
- 浜理事長が、季刊誌『ちいさい・おおきい』に「小児の薬」についての連載を開始
- 同様に、週刊金曜日に「必要な薬と不要な薬」の連載を開始(2003年7月から月1回)
- 事業の実施状況
1.特定非営利活動に係る事業
- 事業名 EBM治療ガイドラインシリーズの翻訳・編集・発行
本年度は実施できず。
- 事業名 セミナー、研修会、研究会等の開催
- 医薬ビジランス研究会
実施場所 医薬ビジランスセンター事務所
実施時期 ほぼ2か月に1回(年間 6回)
対象者 正会員および賛助会員その他希望者
- 事業名 医療消費者および医療従事者向けの医薬品に関する書籍発行
- 季刊誌『薬のチェックは命のチェック』編集・発行
1、4、7、10月の各20日
- 第9号 特集「ステロイド剤」
- 第10号 特集「ステロイド剤パート2」
- 第11号 特集「睡眠剤と安定剤」
- 第12号 特集「かぜとインフルエンザ」
- 事業名 インターネットウェブサイトによる情報提供
2000年8月にインターネットウェブサイトを開設し、これを通じて情報提供している。
2001年4月から理事長の浜六郎が朝日新聞でコラム「薬の診察室」を連載後は急激にアクセス回数が増加した。
また、2002年12月から、『薬のチェックは命のチェック』のインターネット速報版を掲載するようになって
一層アクセス数が増加し、常時1日100 人以上のアクセスがある。
2004年2 月20日正午現在でアクセス件数は110,946
(1年間で約5万件のアクセスがあった:平均1日140件)であった。
- 事業名 医薬品に関する情報の収集、調査、研究
- 『薬のチェックは命のチェック』の特集テーマに応じた情報を収集、調査し、分析した。
- プロトピック軟膏を小児のアトピー性皮膚炎治療に承認することの是非を検討するため、
情報を収集し、分析した。
- 事業名 医薬品使用に関する情報の収集、調査、研究
- 2003年の大阪大学医学部学生実習のテーマは、「解熱剤の使用に関して」である。
どの程度の熱で解熱剤を使っているか、解熱剤に関する適切な情報に接したら使用態度は
どのように変わるかをアンケート調査により分析した。
調査結果は、現在分析中であり、『薬のチェックは命のチェック』第14号(2004年4月発行)
に掲載予定である。
- 事業名 医薬品行政に関する情報の収集、調査、研究
- プロトピック軟膏
小児用のプロトピック軟膏の承認前に、その安全性について分析し問題点を、
薬事・食品衛生審議会の薬事分科会全委員に対して文書で指摘。
その結果4点にわたる厳しい承認の条件がつけられた。
- イレッサ
厚生労働省に対して、使用中止を要望するとともに(2003.2.28)、
開示されていない毒性データや臨床試験のデータの公開を求めた。これらの成果もあってか、
イレッサの使用量は減少してきたので、慎重に使用されるようになってきたものと考えられる。
- 「くすりの危険情報」の報告基準
「くすりの危険情報」の報告基準に関する厚生労働省案に対する意見書を2003.10.23に提出した。
- 医薬品の小売での販売問題に関して
『薬のチェックは命のチェック』No12に、論説を掲載した。
- 欧州医薬ビジランス会議(ISDB欧州主催)
2003.10.31〜11.1ドイツ、ベルリンで開催された会議で、浜理事長が講演した。
- 事業名 医薬品、医薬品使用等に関する相談業務等
- 実施場所
- 医薬ビジランスセンター事務所
- 内容
- 不特定多数の方々からの電話・ファックス・手紙・電子メール等による相談
(原則無料であるが、資料の検討等時間を要する相談や込み入った相談については有料のこともある)
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