治療ガイドライン「呼吸器編」第2版にようこそ。初版を1年以上かけて全面的に内容の検証を行い、いくつかの新しい章を追加しました。
新世紀はまさしくEvidence-based medicine 時代の真っ只中で始まろうとしています。このような中、本ガイドライン作成委員会はガイドライン作成に際して重要な研究を参照することをより重視するようにいたしました。
本ガイドラインは、呼吸器病学の教科書ではありませんが、治療法の選択肢を検討する際に素早く参照することのできる参考書です。呼吸器疾患が高い罹患率を示していることから、私は本ガイドラインが広く用いられるものと確信しています。(原書序文より)
原著執筆グループの代表 John Dowden医師も指摘しているように、日本でもオーストラリアでも罹患のパターンに多少の違いはあれ、呼吸器疾患は多く、薬剤も大部分は共通しているので、そのまま翻訳しても日本の医師や薬剤師にもこのガイドラインは十分に役に立つはずである。
救急蘇生法 ABCのA(airway), B(breath)がどちらも呼吸に関係するように呼吸器は生命に直結した機能である。呼吸器疾患は頻度の面でも感冒やインフルエンザ、喘息、肺炎など日常的でポピュラーな疾患である。
日本には世界的には使用されていないローカルドラッグが多い。呼吸器疾患ではとくに問題が山積している。監修者らはEBMを、患者にとって最も価値ある結果が得られるように現時点での最良の根拠(evidence) をもとに、誠実に、思慮深く、的確に判断して実践する医療であると考える。この考えから、できる限り世界的なレベルでのエビデンスを求めて評価し、日本で適用する際にも利用しやすくなるように、監修者が中心となって随所でコメントした。
本書を大いに利用して頂き、日本の呼吸器疾患医療が向上することを期待する。(監修者序文より)