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No.24 特集 メタボリックシンドロームのまやかし 2006年10月 発行

季刊誌第24号

最近ようやく、「コレステロールは高めが健康」という意見が少しずつ現れ、コレステロール低化剤の使いすぎに歯止めがかかってきたと思っていたら、 今度は「メタボリックシンドローム」という造語が出てきました。
 読者のみなさんも、あなた自身がこのメタボリックシンドロームの基準に当てはまる、と言われると、正直なところ不安になるでしょう。 不安にはならなくても少なくとも「気になる」ことは間違いありません。 仕掛け人にとっては、「気になってくれる」と都合がよいのです。
 メタボリックシンドロームの基準は、体脂肪や肥満、高血圧などを組み合わせ、「健康な人」を「病人」扱いして薬を使わせようと 仕掛けた人たちが考え出した「病気の亡霊」ともいうべきものです。
 「病気」をつくり、「薬を使えば楽になりますよ」「予防できますよ」と誘惑します。 そして厄介なことに、メタボリックシンドロームを単なる「亡霊」「悪霊」として笑って捨て置けない事態になってきています。
 本号では、メタボリックシンドロームとは何か。何がそんなに問題なのか。基本的問題点について解説します。


もくじ

 特集
 ■Q&A ちょっと太めが元気で長生き
 ■メタボリックシンドローム対策で医療費は増大

  短期連載
 ■サプリメント:コエンザイムQ10
   「若々しさのためのサプリメント」は役立つか

  提言
 ■NPOJIPの提言
  タミフル脳症は薬害だ!!

  連載
 ■映画のなかのクスリ(17) ホルモン
 ■リレーエッセイ  「92歳でポックリ逝った父」
 ■みんなのやさしい生命倫理 24
   EBMの生命倫理(3)
 ■市民の視点 領収証発行義務化―さあ医療費の明細書をもらおう!―
 ■EBM超入門(13)
   エビデンスにはレベルがある
 ■海外の情報


  トピック
 ■メバロチン(MEGAスタディ)のごまかし

  質問箱
 ■1 血圧と頻尿の薬、睡眠剤の併用について
 ■2 薬や化粧品の成分を知る方法
 ■3 大腸がん特集(21号)への疑問点

 ■読者の声
    ・医師と対等に意見を交わすために
    ・被災地で正露丸が配られる―もっと警鐘を
    ・降圧剤を止めて健康です など

 ■書評
   ・『ナースが学ぶ「患者の権利」講座―アドボケイトになるための25の心得』
   ・『ジフテリア予防接種禍事件 69人目の犠牲者』
   ・『みんなで子育て! からだ編』

 ■薬害タミフル脳症被害者の会発足

 ■「薬のチェック」医療ネットワークをつくろう!

 ■用語の解説
  ・メタボリックシンドローム ・ハザード比 ・95%信頼区間 ・回帰直線 ・サリドマイド ・クロロキン ・メタ解析  ・ランダム化(無作為)比較試験 ・除外規定 ・二重目隠し試験 ・死亡率と生存率 ・タミフル脳症

 ■編集後記

トピック より


メバロチン(MEGAスタディ)のごまかし

 コレステロール低化剤は発売当初から現在にいたるまで「エビデンス(科学的根拠)に基づく高脂血症治療」を標榜しています。 その根拠は、メバロチン登場の頃は英国での調査結果であり、日本での大規模な調査は、リポバスのメーカーが実施したJ−LIT (ジェイ・リット)だけでした。(J−LITについては本誌2号:コレステロール特集で解説)。そこへ、2005年11月、 厚生労働省(当時、厚生省)の委託研究事業として1993年に開始された調査結果が発表されました。メバロチンを用いた群と メバロチンを用いない対照群とを比較したMEGA(メガ)スタディという研究です。試験対象者の約7割、5356人が閉経後の女性 だったことから「世界的にも初めて大規模なエビデンス(科学的根拠)として、女性高脂血症患者に対する治療の意義が明確に」 「日本の高脂血症治療の意義が、本試験をもって改めて明確に示されたことは、日常診療の場において、非常に価値が高い」 と実施メーカーは報告しています。
 では、どのようなエビデンスがあるというのでしょうか。本誌連載の「EBM超入門」で学んだことを基礎に、吟味してみましょう。
(以下、引用省略)

詳しくは本誌で。