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書評コーナー

薬のチェックは命のチェックで取り上げた書籍を紹介しています。

季刊誌12号より

ナイチンゲール 神話と真実

ヒュー・スモール著/田中京子訳/みすず書房

ナイチンゲール 神話と真実

この本を読むまでの評者の抱いていたナイチンゲール像と言えば、クリミア戦争(1853〜56)での活躍、看護婦(師ではない)の鑑、白衣の天使、等であった。しかし、この本を読むとその像は打ち砕かれる。90年の生涯で、看護婦として従事したのはたった2年であったこと、150点以上の著作と1万2000点以上の書簡を残したことも初耳だったが、さらに、当時としては画期的な統計学的手法を用いて、自分が管理していた病院での異常に高い死亡率の原因を明らかにしたということに、何よりも驚いた。それは自分自身にも刃を向ける行為であったが、それを後世に伝えようとした態度は、現在の日本で課題となっているEBMの実践、医療過誤の情報公開のお手本とするべき新たな"ナイチンゲール精神"と言えよう。(き)


■単行本: 309ページ/¥3,000 (税別)

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