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書評コーナー

薬のチェックは命のチェックで取り上げた書籍を紹介しています。

季刊誌13号より

精神科医はいらない

下田治美著 角川書店

精神科医はいらない

映画化もされたベストセラー「愛を乞う人」などで知られる小説家自身がうつ病に罹り、自身の体験と様々な精神科患者の取材を通して彼女はある仮説に辿り着く。"精神科は「科学性のない主観的なブンガク科」である"。日本の病院の総ベッド数120万床のうち精神科は25%の30万床を占めているのに、医師総数25万人中精神科医は8千人(3.2%)しかいないという異常な現状を指摘している。また、治療がうまく行かなくても、患者自身も家族も異議を申し立てにくいことも指摘している。マスコミにしばしば登場する"有名精神科医"を批判する舌鋒は鋭い。やはり、自身の脳動脈瘤の手術体験を綴った前作「やっと名医をつかまえた」(新潮社)も傑作であったが、この本も日本の精神科医療の問題点をわかりやすく開示した貴重な資料である。(き)


■A5版:244ページ/¥1,260 (税込)

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精神科医はいらない

■文庫: 255ページ/¥476 (税別) / 角川文庫

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