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書評コーナー

薬のチェックは命のチェックで取り上げた書籍を紹介しています。

季刊誌15号より

中高年健康常識を疑う

柴田博著/講談社

中高年健康常識を疑う

お昼の人気テレビ番組を持ち出すまでもなく、高齢者は総じて健康に関心が深く、"健康に気をつけた"行動を取ろうとする。しかし著者は、健康に関して正しいと思われている情報が実は間違っているために、逆効果になっていることが少なくないと指摘する。その一つの例として取り上げられているのが、本誌第2号でも特集したコレステロール。著者らがある地域の住民を長期に追跡して調べたところ、血中コレステロールが高いほど死亡率が低かった。こうした結果から、心筋梗塞など冠動脈疾患の予防に焦点を当てた(著者自身は老年学の立場から、個別疾患より総死亡率に着目している)日本動脈硬化学会のガイドラインについて、疾病構造が異なるにもかかわらず欧米の基準を安易に導入した植民地主義であると断言する。そもそも日本人の場合、コレステロールを薬で下げるメリットがあるのかと問いかける著者の姿勢は、本誌と共通する部分が少なくない。(き)


■19×13㎝:214ページ/¥1,500 (税別)

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