薬のチェックは命のチェックで取り上げた書籍を紹介しています。
マーシャ・エンジェル著/栗原千絵子、斉尾武郎共監訳/篠原出版新社
著者のマーシャ・エンジェル氏は、アメリカのニューイングランド医学雑誌(臨床医学分野では 世界最高の権威がある雑誌)の前編集長。その彼女が編集長を降りた後に、製薬業界を痛烈に告発する 内容の本書を著したのだから、たいへんな反響が巻き起こったというのもうなずける。
著者は本書で、ビッグ・ファーマのやりたい放題ぶりを、これでもかと言わんばかりに書き連ねている。 いわく、ビッグ・ファーマの開発した薬の多くは、画期的新薬ではなく”ものまね”薬にすぎない。 いわく、薬の値段が高いのはマーケティングや広告に莫大な費用をかけているからだ。 いわく、ビッグ・ファーマは自社の薬の独占権を延長するためにさまざまな手口を編み出してきた......。
本書を手にとる多くの読者にとって、こうした記述は驚きの連続に違いない。だが、 「薬のチェック」の読者にとっては、もしかしたら”想定内”(ちょっと古かったか?) かもしれない。ビッグ・ファーマが開発する新薬と必須薬(エッセンシャル・ドラッグ)とは 中身がかなり違うことや、臨床試験で自社製品の効果をより大きく見せるからくりについて、 「薬のチェック」では繰り返し取り上げてきたからだ。
とはいうものの、一度は読んでみることをお薦めしたい。薬をめぐる現実を直視するためにも。(き)
■6×21㎝:335P/¥2,300 (税別)
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