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書評コーナー

「薬のチェックは命のチェック」で取り上げた書籍を紹介しています。

季刊誌23号より

この命、つむぎつづけて

田中百合子著/毎日新聞社

この命、つむぎつづけて

著者は20代で薬害スモンに罹り、以後40年近くをいつも体調の悪さに苦しんでいる。 薬害スモン裁判の当時より反薬害闘争に関わり、現在は東京スモンの会会長を務める。 本書の中心を占めるのはもちろん薬害であり、薬害スモンの発症と今も続く健康被害、また裁判や反薬害活動などについてであるが、 これは薬害の記録にとどまらない。 それよりも著者が一人の人間として、そして女性、母として、どんな思いで命をつむいできたのかが伝わってくる自己表現の一冊だという印象を受ける。 小児麻痺に罹った著者が友人関係に悩んだ子どもの頃、希望に溢れていた学生時代を一転させた薬害スモン、そして結婚、出産、子育て。 著者の苦しみがすべて「わかる」といえば嘘になる。 しかし、薬害スモンと平行して語られる著者の人生に、自分が少しでも重なる部分を持っていれば、薬害やその被害者を理解しようという一歩になるかもしれない。

柔らかい文章でとても読みやすいので、薬害スモンを知らない若い世代の人たちにもお薦めです。


■13.5×19.5㎝:236P/¥1,400 (税別)

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