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書評コーナー

「薬のチェックは命のチェック」で取り上げた書籍を紹介しています。

季刊誌25号より

怖くて飲めない! 薬を売るために病気はつくられる

レイ・モイニハン、アラン・カッセルズ共著/ヴィレッジブックス

怖くて飲めない! 薬を売るために病気はつくられる

世界的に有名な医療ジャーナリストであるレイ・モイニハンと共著者による本。 原題は「Selling Sickness (直訳すると、病気を売る)」である。 いくつかの章のタイトルを紹介すれば、“死の恐怖をあおって売り込む—高コレステロール”“患者数を多く見積もって売り込む—うつ病” “病気のリスクを病気にすりかえて売り込む—高血圧”といった具合である。

私にとっては、第10章の“個人差を異常と決めつけて売り込む—女性性機能障害”が印象的であった。 というのも本章の最初で取り上げられている国際会議には私も出席していたし、 ここで批判されているゴールドスタインは、私がこの本を大阪で購入した日に大阪での学会でのゲストとして参加したので、 親しく話をした仲であるからだ。

ともかく、「あらゆる人に薬を売ろう」とする巨大製薬会社の戦略が暴露されている。 それに対する対策も“エピローグ 我々にできるのは疑問をもつこと”に書かれており、 「薬のチェック」の精神に通じるものがある。豊富な参考文献も魅力である。(き)


■ 19X13cm 317P/ 1,700 円(税別)

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