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書評コーナー

「薬のチェックは命のチェック」で取り上げた書籍を紹介しています。

季刊誌25号より

抗うつ薬の時代—うつ病治療薬の光と影—

デーヴィッド・ヒーリー著、林健郎、田島治訳/星和書店

抗うつ薬の時代—うつ病治療薬の光と影—

抗うつ薬の処方を含む現在の精神医学は明らかに何かが間違っているが、その「何か」を解き明かすことが本書のテーマの一つです。まず本書は「抗うつ剤の発見」以前からの医療に対するアプローチの変遷を探ります。主な登場人物は、一般大衆、製薬産業、規制当局、精神医学界です。「抗うつ剤」の開発と、近代医学に重要な無作為化試験が発達した経緯が詳しく述べられます。また、これら歴史的な流れを踏まえて、うつ病などの精神疾患の概念が、臨床的な意味よりも製薬産業の販売戦略に沿っていることが浮き彫りにされます。本書は単なる化学物質としての「抗うつ剤」ではなく、それが開発され広く受け入れられるようになった背景に目を向け、現代医学を鋭く批判しています。(な)


■ 409P 21cmX15cm/3500円(税別)

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