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書評コーナー

「薬のチェックは命のチェック」で取り上げた書籍を紹介しています。

季刊誌25号より

抗うつ薬の功罪—SSRI論争と訴訟—

デーヴィッド・ヒーリー著、田島治監修、谷垣暁美訳/みすず書房

抗うつ薬の功罪—SSRI論争と訴訟—

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)がうつ病患者の自殺衝動を強めうるということが最初に報告されたのが1990年。欧米の規制当局が対応をし始めた2004年以降までの十数年間、この危険性は黙殺されていました。

本書はSSRIの開発や承認にまつわる産官学の利害関係を報告します。また、SSRIメーカーに対する訴訟やトロント大学教授就任の取り消しなど、この利害関係の真っ只中に身を置くこととなった著者の経験が述べられます。

原題「Let them eat Prozac」を訳すと「プロザックを食べたらいいじゃない」。フランス革命で困窮する民衆に「パンがないならお菓子を食べたら?」と言い放ったマリー・アントワネットの発言をもじっています。著者はこれをSSRIの状況を象徴する言葉として選んだといいます。(な)


■ 447P/4,200円(税別)

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