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書評コーナー

「薬のチェックは命のチェック」で取り上げた書籍を紹介しています。

季刊誌29号より

丸腰のボランティア すべて現場から学んだ

中村哲・編、ペシャワール会日本人ワーカー・著/石風社

丸腰のボランティア すべて現場から学んだ

ペシャワール会は、アフガニスタンで医療活動、水利事業、農業計画を行うNGO(非政府組織)です (パキスタンのペシャワールを拠点に始まったが、2007年秋にパキスタン政府に追い出された)。 「誰も行きたがらないところで誰もやりたがらないことをする」「現地の人々が主役」という基本姿勢で活動しています。
 本著は、異文化や物資不足、過酷な自然条件の中で試行錯誤する日本人ワーカーたちの報告です。 厳しい内容も多いですが、異文化間のびっくりするようなエピソードが興味深く、読み進めるのに重苦しさはありません。
 なぜタイトルにあえて「丸腰」という言葉が入っているのか? 本著を初めて目にしたときに思いました。 「現地事業とその背景」によると、完全武装した民兵に護衛され活動している他団体は、数回にわたり襲撃され、スタッフが拉致、殺害されているといいます。 一方、同団体は「丸腰」、それでいて一度も襲撃されたことがない。この差は一体何なのか?  日本人ワーカーたちの忍耐強さと謙虚さ、そこに築かれる現地の人々との信頼関係にそのヒントがあると思いました。(な)


■ 18.8×13cm 399頁/本体価格1800円(税別)

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