「薬のチェックは命のチェック」で取り上げた書籍を紹介しています。
佐高 信、宮本政於共著/講談社
■文庫版 251頁/514円(税別)
アメリカで精神医科医として臨床をした後に厚生省(当時)に入り、その異常なムラ社会の生態を「お役所の掟」 (英語でも(straitjacket society:拘束衣社会のタイトルで出版)などに著し、後に休暇届をファックスで送って 休暇をとったことで懲戒免職(!)になった故宮本政於(1948ー1999)と評論家佐高信との共著本。
ある時、宮本は後輩から、しばらく寿司は食べないほうがいいと助言される。その理由は、生海老のコレラ感染が わかったからだという。ではなぜその事実を公表しないのかと訝る宮本に、上司が「寿司業界や料亭の経済的なロスと 40ー50人のコレラ患者の発生の経済的負担とをよく考えよ。もうちょっと大人の発想をしなければ役人として 生きていけないよ」と説教したという話が出てくる。また、国にとって都合の悪い薬害エイズの資料がなぜ処分されずに 残っていたのか。官僚の思考を分析し、謎解きをしている。菅厚生大臣(当時)が官僚にコケにされた話も出てくる。 官僚の体質を知るのに最適の本である。2000年発行(単行本としては1996年)の本だが、内容は少しも古くなっていない。(き)