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書評コーナー

季刊誌31号より

ちーちゃん 誕生死・10日間の思い出

ちーちゃん 誕生死・10日間の思い出

石渡 広治、石渡 希:著/三省堂
 ■18×11.5cm 118頁/価格1300円(税別)


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本書は、母体内で亡くなってしまった赤ちゃん・千愛ちゃんが、たった7か月であったとしても、生きようと精一杯頑張った小さな命の証です。千愛ちゃんを失った後の、ご両親の様々な心の揺れが、一文字一文字素直な言葉を通して読者に迫ってきます。それは「死産」ではなく「誕生死」という新たな語に込められた思いでもあります。

母親の希さんは、赤ちゃんが亡くなってしまったことを自分自身の責任と思い、責め続け、その思いは半年経っても癒えません。看護師は、そんな母親の気持ちを受け止め、ときに寄り添います。その行動が大きな支えになっていたことが日記に綴られています。谷田憲俊さんの著書にあった「傾聴技能を用い、“患者からただ聴く”という実践」を思い出した場面です(『インフォームド・コンセント−その誤解・曲解・正解』医薬ビジランスセンター)。

大きな悲しみ、苦しみ、喪失感を抱えた人を目の前にして、一体わたしたちに何ができるのだろうか? そんな思いを抱きながら働く、医療関係者や福祉関係者をはじめとする様々な分野の方にもお薦めしたい一冊です。