奥野修司:著/文春新書
■新書版 195頁/価格710円(税別)
タイトルに惹かれて購入したが、期待以上の内容だった。
第2章“花粉症にはなぜ俗説が多いのか”では、ディーゼル排気犯人説や寄生虫減少説をエビデンスに基づいて否定している。「世界にはさまざまな花粉症があるが、共通しているのは、単種の植物を大量に植えたために起こっていることだ」(一部改変)という結論は説得力がある。
第3章“花粉症は国家の犯罪”では、官僚の無責任さが明らかにされる。彼らが残したものは、林野庁の3兆8千億もの負債と2200万人もの花粉症患者とスギ・ヒノキ以外は草木1本も生えていない“死の森”である。
第4章“花粉症は公害だ”では、国家賠償法に基づいて訴訟を起こした弁護士に取材している。国側は「原告の花粉症はどこの花粉のせいか、特定しろ」という不可能な要求をしてきたとのこと。この章の後半では、花粉症を起こさない豊かな森を取り戻す方法が提案してある。花粉症患者でなくてもためになる一冊。