高木学校医療被ばく問題研究グループ:著/七つ森書館
■18.8×12.8cm 173頁/価格600円(税別)
原子力資料情報室を設立した故高木仁三郎が立ち上げた市民のための科学の学校である高木学校の医療被ばく問題研究グループ の手になる医療被曝に関する手引書。旧版と比較すると一回り大きくなり、ページ数も増し、表紙もカラーになり、 随分読みやすくなっている。
2004年のLancet誌に載った医療被曝と発ガンの国際比較を行った研究で、日本の医療被曝とそれによる発ガンは ダントツの1位であるということから説き起こし、いかに日本の医療被曝に対する対策がおそまつであるかが解説されている (この論文に対する国内向け日本語批判は多数出されたものの、国際的な専門誌にきちんとした批判を出したものは皆無という事実 を挙げている。これも極めて日本的な対応)。
結局はわれわれ自身の身体はわれわれ自身で守るしかないというのが読後の感想である。ヒロシマ/ナガサキを 経験したこの国の国民がこれほど医療被曝の被害を受けているという事実は、専門家がいかにいい加減かという証拠なのか、 それとも国民の成熟度の問題なのか。考えさせられる。一家に一冊は常備したい本である。(き)