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書評コーナー

季刊誌33号より

わたしを束ねないで

わたしを束ねないで

新川和江(著)/童話屋
 ■11×15.5cm 157頁/価格1250円(税別)


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「わたしを束ねないで あらせいとうの花のように 白い葱のように」で始まる新川和江の詩に出逢ったのは、 まだ私が高校生の頃でした。その後社会に出て働きはじめ、「女だから」「女のくせに」というメッセージに幾度となく 頭を打ち、子供を出産してからは「母親だから」「母親のくせに」との声に囲まれ辟易としていたとき、 再びこの詩に出逢いました。

詩の後半はこう続きます。「わたしを名付けないで 娘という名 妻という名 重々しい母という名でしつらえた座に」。 女性であること、母親であることの前に1人の人間として存在する自分自身。「〜だから」という社会が求める型にはまりたくない。 そして「〜だから」を言い訳にしたくない。そんな気持ちにぴったりの詩なのです。

この詩は他の詩集にも収められていますし、中学校の教科書に掲載されたこともあるのでご存じの方も多いでしょう。 本書の初版は1997年。現在9刷りを重ねています。

詩は「わたしは終わりのない文章 川と同じに はてしなく流れていく 拡がっていく 一行の詩」で 締めくくられます。何度読んでも力が湧いてきます(み)