植松 稔著/三省堂
■価格1500円(税別)
本書を読むと、根治どころか延命の可能性さえ極めて低い場合でも、手術や抗がん剤治療が当然のごとく推奨されているがん治療の 現場がわかります。その背景に「専門家集団というのは、実は錯覚に陥りやすい危険な集団」であり、科学的とされる治療のガイドラインも、 患者に有益というより、「医師が誰からも非難を受けにくい選択肢である」という理由から広く普及しているという側面があることも 述べられています。
また前立腺がんの発生率は高くても、それで命を落とす確率はじゃんけんで8回連続して勝つよりも少なく、手術をしても 生存率にほとんど差がないことなど、がんのリスクとその治療によるリスクがわかりやすくまとめられています。
著者の植松氏は、三次元のピンポイントによる放射線治療を開発し、がん治療の可能性を大きく開きました。 現在では、さらにがんの位置を確認する四次元照射へとその精度は高まっています。放射線治療にも様々なものがあり、 その方法別に副作用の発生率をみたものも紹介されています。
本書の他、ピンポイント照射による切らずに治す肺がん治療など実例写真と患者手記をまとめた「明るいがん治療」、 肺がん以外も切らずに治すPETやCTの写真と患者手記をまとめた「明るいがん治療2」の2冊をあわせて「明るいがん治療」 3部作です。(み)