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書評コーナー

季刊誌37号より

コレステロール 嘘とプロパガンダ

コレステロール 嘘とプロパガンダ

ミッシェル・ド・ロルジュリル著/浜崎智仁訳/篠原出版新社
 ■317頁 価格2300円(税別)


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訳者あとがき曰く、「スタチン(評者注:メバロチンなどのコレステロール低下剤)を服用している人たちが、 この本を最後まで読めば、きっと吐き気がしてくるだろう」と。まさしく、スタチンを服用していない評者も吐き気がしてきた。

評者も訳者と同じく、冠動脈疾患の少ない日本人にはスタチンは意味がないが、欧米人には意味があるだろうと考えていた。 ところが、それさえも“嘘とプロパガンダ”による幻想であると知らされる。本誌第2号「コレステロールは病気でない」にある “(コレステロールを)下げるとガンも死亡も増える”ことが裏付けられているし、さらに認知症も増える可能性があることもわかる。 フランスで2007年に発行されたより専門的な前著(日本語版は未出版、是非訳出してほしい)と本書(フランスで2008年9月発行) に対する科学的な反論は皆無である。

なぜこんな“途方もない医学的詐欺(序文より)”が行われたのか? 本書を読んでの感想は 「コレステロール低下剤は医療におけるサブプライムローン」である。後者により被害者は家や財産を失ったが 、前者の被害者は健康と命を失うのである。(き)