メリル・グーズナー著/東京薬科大学医薬情報研究会訳/朝日新聞社刊
■13cm X 19cm 367頁 価格1600円(税別)
著者は米国の医療ジャーナリスト。ほんの序文で、「医薬品のイノベーション(革新的な薬)という言葉にかけられている カーテンをひきはがし、業界の主張に異議を申し立てるのが目的」と延べ、ひとつの新しい医薬品を開発するには1000億円かかるという 企業による試算の内幕を徹底的に検証しようとしています。
“カーテン”とは、企業の広報とレトリック、それに追随するマスコミ、政府の政策と対応などでしょうか。バイオテクノロジーは 新薬に直結しており、がんや成人病、希少疾病に光をもたらすと宣伝され続けたこの20年。すでに巨額の売上を得ている最近の薬を例に、 事の始まりからFDAの承認とその後の実態まで、科学といわれるその中味はどんなものなのか、研究と臨床試験の資金はどこから出ているか、 どのような臨床試験が行われたか、その物質を「薬」にした真の原動力は?と、カーテンの内幕へと私たちを案内してくれます。
新薬といいながら“模倣薬”の追求に明け暮れ,膨大な費用をかけて“種まき試験”とよばれる売込用や適応拡大のための 臨床試験を行う企業。薬は誰のためにある?と著者は繰り返します。(桜)