山口美智子著/毎日新聞社
■13cm x 19cm 231頁 価格1600円(税別)
1987年9月、著者の出産時に出血が多いからと止血剤として使われたのが、 C型肝炎ウイルスに汚染された血液製剤フィブリノゲンだった。 輸血の際に医師から「まれに肝炎が発症するかも」と説明を受け、産後に職場復帰したものの 「まれに」の急性肝炎を発症した。その後、肝炎ウイルスが活動性に移行し、悪化した著者は、 副作用の激烈さに耐えながらインターフェロン治療を受けたが、まさか人災、 薬害による肝炎だとは思いもよらなかった。
著者が薬害肝炎訴訟で代表として精力的に活動してきたことは記憶に新しいが、 訴訟のトップを切った原告というわけではない。出産(輸血)から15年という歳月が過ぎた 2002年10月23日、裁判提訴の新聞記事で「止血剤フィブリノゲン」による肝炎ではないのか?と 初めて気づく。2003年4月に提訴し、全国初の実名原告となった。書名にある「歌」とは短歌のことである。 インターフェロン治療に苦しんでいたとき、提訴して東奔西走していたとき、短歌に思いを吐露することで 乗り切ってきた。本書にはそれらの短歌が随所に織り込まれている。(さ)