浜六郎著/幻冬舎
■新書版 199頁 価格760円(税別)
病人にされてしまうのは高血圧や高コレステロールだけではない。認知症も、 服用している薬剤が引き起こしていることがある。ということが本書を読むとわかる。
また、著者がしつこいくらいに繰り返し述べているのは、認知症とせん妄の違い。 第二章で認知症とせん妄、第三章は薬物によるせん妄、第四章はせん妄をどう識別するか、となっている。 専門家であるはずの医師でさえ、せん妄を認知症の始まりと捉えて薬物治療をしがちだという。 認知症の薬物治療といえばアリセプトが有名だ。日本の製薬会社エーザイが開発した国際的にも誇れる新薬として マスメディアでよく取り上げられていたので、ご存じの方も多いだろう。しかし、果たしてそうなのか? アリセプトを使うと認知症の進行は止まるのか?ということと絡めて海外の動きにも触れている。
いわゆる団塊の世代がいよいよ高齢者の仲間入りをする時代。認知症は高齢化のひとつでもあり、 今後、認知症患者は増えると予測されているだけに、予防や治療を巡って今後とも種々の薬剤が開発されるだろうが、 そのためにも正確な知識を持ちたい。(さ)