■スティーヴン・ウォロシン、リサ・シュワルツ、ギルバート・ウェルテ著/北澤京子訳・日経BP社
■ISBN-10: 4822248399
■ISBN-13: 978-4822248390
■13 x 18.5cm 204頁 価格1600円(税別)
本書は、「医療情報を批判的にみる方法や、その根拠となっている統計を理解する方法について」 一般市民や患者に向けて解説したものです。特に「リスク(危険性)」の解説に重点が置かれ、 リスクを理解する、リスクを比較の視点から考える、治療の不利益について考えるなどの項目が並んでいますが、 市民・患者が一番だまされやすい要素だからでしょう。
例えば「気分良好、食欲旺盛、50歳」が(米国では)大腸がんの早期リスクだとする、 大腸がん検診を勧める広告があります。この広告文には、本当にリスクかどうかを判断する重要な 情報が抜けているのですが、おそらくそれは広告主の意図でしょう。
製薬企業、研究者、国、研究者の資金提供者、医学雑誌、学術団体、そして報道機関は、 誇張した情報を生み出し、提供しがちだ、と本書ではいいます。 1万人あたり4人の患者が2人に減ると「50%減少」と報道されます。こうした事実無視の誇張された情報に、 市民/患者が振り回されないために、ウソを見抜くために、「健全な懐疑主義者」になることを勧めています。 「薬のチェック」の編集趣旨と通じるものがあります。(さ)