■近藤 誠著/梧桐書院
■ISBN-10: 4340120022
■ISBN-13: 978-4340120024
■13.5 x 19.5cm 267頁 価格1700円(税別)
近藤誠氏が数年の沈黙の後、満を持して執筆した本であり、近藤理論の集大成と言える内容である。 まず、小児の神経芽細胞腫の検診が廃止された経緯から成人のがん検診への教訓を導き出す。続いて、 がんの定義と病理医の診断のいい加減さを解説。さらには、清水市立病院の“医療過誤事件”と その裁判の経過についても詳しく述べている。前立腺がんのPSA検診については、アメリカとヨーロッパの RCTの結果は相反したのだが、これについても検診に意味なしとしたアメリカの結果が信用できることを 理論立てて解説している。
最終章には、現在のがん治療に対する痛烈な批判の一文がある。「医者の役割は、 症状を緩和し、日常を楽に過ごせるようにして、患者を安心させることにあると思います。 しかし現在のがん治療は、この理念に真っ向から反している」。“あとがき”では、 本書が社会通念に反する内容であることを認めた後、「医療に関する社会通念とは何か、 要は、縄張りを拡張したい専門家たちが垂れ流した言説を、マスコミが受け売りして 言い広めた結果です」と明快だ。(き)