■薬と社会をつなぐキーワード事典編集委員会 編集/本の泉社
■ISBN-10: 4780706009
■ISBN-13: 978-4780706000
■15cm x 21cm 392頁 価格2380円(税別)
「ネット情報を超える確かな解説」という宣伝文が、本書の存在意義をしっかりと言い当てている。 薬に関する情報はネットで簡単に手に入るが、その質は玉石混交だ。さらに、薬には本来の「生理活性物質」 という側面と、「医療物質」や「製薬企業の商品」としての社会的な側面があり、そうした側面からの薬の意義も 知っておきたいが、ネット上にも既存の出版物の中にも適切な解説をしてくれているものは少ない。
本書では、イレッサ薬害/漢方薬の臨床評価/ディジーズ・モンガリング(病気づくり)/ 医薬品のインターネット販売などの235項目について、社会との関係性も意識して1500字程度で解説。 古い問題から最近の話題まで網羅されているので、通読すればいまの日本の薬業界が抱えている問題を知ることができる。
最後に苦言を一言。薬関係の機関・組織についての項目が19あるが、NPOJIPの解説がないのはどうなのだろう。 「薬のチェック」が、薬と社会をつなぐ意味で重要な役割を果たしていることは明らかなのに、とつぶやきたい気分だ。(く)