■川田龍平著/角川SSC新書
■ISBN-10: 4047315443
■ISBN-13: 978-4047315440
■17 x 11 x 1.5 cm 167頁 価格760円(税別)
19際で薬害エイズ患者であることを実名公表し、その後薬害エイズ裁判を闘い、現在は参議院議員を務める著者、 川田龍平氏が本書を執筆した背景には、人間のいのちを守るべきはずの医療が、 さまざまな面において危機的状況にあるのではないかという著者の危惧があります。 「いのちにとって薬とは何か」の章には、「反省こそが第2、第3の薬害を防ぐ」という言葉があり、 薬害被害者としての切実な思いが込められています。
また、薬害被害者であり難病患者であるという、医療を懐疑的な視点で見ることを常としていた著者が、 義父の死を通してごく一般的な市民として医療に接したとき、さまざまな課題が明らかになってきます。 薬剤の過剰使用、過酷な労働実態で疲れはてる医師、そのいっぽうで医師に治療を「おまかせ」にししまう患者 (医療消費者)の姿など、それぞれの課題が経験談を支えながら記されており、 特別な知識がなくても読み進められます。
厚生労働大臣になり、医療を抜本的に改革して、「いのちが最優先される社会」をつくりたいという 著者の決意表明でもある1冊です。(み)