■大竹文雄著/中公新書
■ISBN-10: 4121020456
■ISBN-13: 978-4121020451
■18.7cm x 11.2cm 245頁 価格780円(税別)
「市場競争とのより良い付き合い方を考えるヒントを提供」するため、格差問題などから経済の有り様を解説する一冊です。
市場競争そのもをを否定するのではなく、うまく機能するルールの設定が必要という本書の主張は理解できます。 確かに著者の大竹氏が指摘するように非正規雇用問題がここ数年で社会問題化してきたのは、男性の特に若年層の非正規雇用が増えてきたから。 ですが、その大半を女性が占めていたときには問題視されることもなく放置されていた課題です。市場競争が「うまく機能するルール」 に、世代を超えて連鎖する差別や貧困、人権侵害といった視点を盛り込まなければ解決しない問題も多くあるのではないか。 「所得の再分配」までは指摘しても、そこまでは踏み込まない本書の読後感は、「消化不良」の感が否めませんでした。
ただし、「競争」にからめて薬指の長さと男性ホルモンの相関関係を述べている箇所は注目。 相撲の力士で横綱・大関になる人はとりわけ薬指が長いとあり、そんなに男女比が違うのかと「薬のチェック」スタッフで見ると、 人差し指より薬指が長いのは男性の浜さんと松本さん、そして女性は坂口さんのみ。家族でも評者以外の男性は薬指の方が長い。この点は納得。(み)