■ワルター・ハルテンバッハ (著), 大島 俊三 (翻訳), 小出 俟子 (翻訳) /中日出版社
■ISBN-10: 4885193702
■ISBN-13: 978-4885193705
■20.8 x 14.8 x 1.2 cm 184頁 価格1905円(税別)
副題は「悪玉コレステロールは作り話」。「序文」にいきなり、「本書は、コレステロール低下薬(注:剤と訳してほしかった)を製造する 製薬企業がどんな手段で、またどんな規模で、薬剤を処方する医師たちを獲得しようとしているかを明らかにしている。 その際、コレステロールは心筋梗塞や動脈硬化症の主要な原因である、という謝った主張を載せた冊子と賄賂が主役を演じている」とあります。
これはドイツの状況なのですが、製薬企業は多国籍企業の最たるものですから、日本でもコレステロールを下げて 血液サラサラを呼びかけるテレビ番組やCMや電車内の広告が溢れていて、この状態はおよそ世界中を覆っているのでしょう。
著者のハルテンバッハ氏はミュンヘン大学医学部外科教授を歴任し、多くの動脈硬化巣を調べた実績に基づいて、 硬化巣のコレステロール含有率は1%ほどでしかないこと、動脈硬化ができる証拠として引き合いに出されるウサギのモデルに見られる 脂肪斑とヒトの動脈硬化巣とは全く異なることなど、専門分野の知識と実績を駆使して、コレステロールが 悪者でないことを述べています。
日本でも著名な大学医学部教授の中から、こういう人物が登場しないかなあ。(さ)