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書評コーナー

季刊誌51号より

デタラメ健康科学 代替療法・製薬産業:メディアのウソ

デタラメ健康科学

■ベン ゴールドエイカー 著、梶山 あゆみ訳 /河出書房新社
 ■ISBN-10: 4309252508
 ■ISBN-13: 978-4309252506
 ■19.1 x 13.2 x 2.9 cm 334ページ 価格1800円(税別)


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著者は著述家で、英国国民保険サービスの医師でもある。本書は彼が2003年からガーディアン紙に連載しているコラムをまとめたものだ。 副題に「代替療法、製薬産業、メディアのウソ」とあるように、深い専門知識をもとにした鋭い切り口で、現代社会に蔓延する 健康・医療情報の危うさを指摘する。

必読は第9章「製薬業界のだましの手口」。製薬企業の研究資金で次々と量産されていく“医学データ”や“エビデンス”といったものが、 いかに巧妙に曲げられ、宣伝に利用されているかという実態をつぶさに明らかにしている。 私が感心したのは、こうした製薬企業のやり方について、著者が「いろいろな講演で医師や医学生に教えているし、私自身が医学校で学んだことだ」 と述べている点だ。つまり英国の医学教育では、製薬企業のMRが持ってくるデータのインチキさや、その見破り方についてしっかり教えているというのだ。

日本の医師たちが、企業の宣伝にやすやすと騙されている現状(騙す側にも医師がいるが…)に、 半ばあきらめ感を持っていた私に「そうか医学教育を変えることがまず第一歩なのだ」と、改めて気づかせてくれた一冊だった。(く)