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書評コーナー

季刊誌54号より

アトピーの女王

アトピーの女王

■雨宮処凛 (著)/光文社知恵の森文庫
 ■ISBN-10: 433478545X
 ■ISBN-13: 978-4334785451
 ■15.2 x 10.8 x 1.6 cm 283ページ 価格743 円(税別)


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アトピー患者さんとお話しをする皮膚科医として読みました。

患者さんが直面する様々な問題がぎっしりと詰め込まれています。軽快な語り口で全国紙のニュース記事など、 幅広くアトピー情報を集め考察してあり、本人が体験したこと、弟さんが体験にしたことなどは、実際に経験したような気さえします。

雨宮さんが「どうしてくれるのよ」と威勢よく問題提起をするときに、「本当にどうしたらいいのだろう」と首を傾けました。 ステロイドを使うアトピーってなんて大変な目にあうのだろう。

食事制限、水治療、ステロイドのリバウンド、シックハウス症候群、彼女の人生はアトピー人生です。 でも、元気に飛び回り家出をし、恋人も作る強靱な生命力の持ち主です。「頑張れ雨宮!」

この本から「医者はアトピーが治せない」「ステロイドを中止することの大変さ」「民間療法は百害あって一利なし」 ということがわかります。(分かりますよね?)彼女は日本で出版されている多くのアトピー本を読破し、医療論文にも目をとうし、 でも残念なことに問題(アトピーであること)は解決できていないように思います。著者の様々な失敗をみて、 賢い選択が出来る医療消費者になれるといいのですが、現実はいつも厳しいようです。(す)