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書評コーナー

季刊誌54号より

この世で一番面白い統計学

この世で一番面白い統計学

■アラン・ダブニー (著), グレディ・クライン (絵), 山形 浩生 (翻訳)/ダイヤモンド社
 ■ISBN-10: 447802605X
 ■ISBN-13: 978-4478026052
 ■20.8 x 15 x 2.2 cm 234ページ 価格1500 円(税別)


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マンガで読ませる統計学がついに出た。アメリカンコミックの絵柄に読み始めは少し戸惑ったけれど、慣れてしまうとズンズン読み進むことができた。

「薬のチェック」は「科学的根拠に基づく医薬情報」であり、根拠を示すためには、どうしても数値やグラフが登場し、 P値、ランダム化比較試験、母集団、信頼区間といった統計学に必要な用語がある。読者の多くは見ただけで「むずかしい」とパスしているかもしれない。 本書では、大量の数字の山を見た人が叫び声を出して逃げ出し、卒倒して救急車で運ばれている。しかし、だ。 数字を見たら、「どこから来た数字?」「だれが作った数字?」「なぜこの数字が作られた?」を考えるクセを持つと、 降圧剤ディオバンが心筋梗塞を減らす、などという詐欺まがいの話の被害にあわないだろう。

海賊たちの給料(?)を平均値と中央値で比較したり、探偵ホームズとワトソン君が大悪漢たちの無作為標本をとるには? を考えたり、と読者の理解をたすけるための工夫がたくさん。「憎しみの種類はどれほどか?」考えてみよう、という項があり、 民族間や国家間紛争を思い浮かべた。ただ、薄灰色地に白抜き文字の箇所があり、老眼には読みづらいかも。(さ)