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書評コーナー

季刊誌54号より

99.9%が誤用の抗生物質 医者も知らないホントの話

99.9%が誤用の抗生物質 医者も知らないホントの話

■岩田 健太郎 (著)/光文社新書
 ■ISBN-10: 4334037593
 ■ISBN-13: 978-4334037598
 ■17 x 10.6 x 1.4 cm 286ページ 価格840 円(税別)


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「薬のチェックは命のチェック」誌は抗生物質について、1)必要な場合にのみ用いる、2)用いる時は必要十分な量を適切な投与法と回数で用いる、 と言い続けてきた。しかし、臨床現場の不適切な使用は改まっていないのが現実である。

刺激的なタイトルがついている本書であるが、著者は神戸大学感染治療学分野の若手教授で、亀田総合病院と神戸大学病院で 感染症の研修プログラムを確立した、感染症のプロフェッショナルである。本書の特徴は、臨床現場に身を置く著者が、 抗生物質使用とそれに関係する医療の問題点について、歯に衣を着せず直言していることにある。

「99.9%が誤用の抗生物質」とは多用されている第三世代経口セファロスポリンであるが、問題は抗生物質にとどまらない。 著者は最終章に「さらば、『足し算』の医療 ー ポリファーマシー(多薬剤処方)の問題」をあてている。薬剤の数が増えればリスクは大きくなり、 新薬はさらにリスクを増やす。『足し算』の医療は、日本人の優しさ、きめ細かさ、勤勉さが裏目に出たものだが、 それが患者に不利益をもたらすのであれば、態度を改めなければならない。患者にとって一番良い選択をしていかねばならない、と結んでいる。(て)