医薬ビジランスセンター(NPOJIP)へようこそ

書評コーナー

季刊誌55号より

人間と動物の病気を一緒にみる

人間と動物の病気を一緒にみる

■バーバラ・N・ホロウィッツ , キャスリン・バウアーズ (共著)、土屋晶子 (翻訳)/インターシフト; 四六版 (2014/1/16)
 ■ISBN-10: 4772695389
 ■ISBN-13: 978-4772695381
 ■18.8 x 13.4 x 2.8 cm 408ページ 価格2300 円(税別)


こちらから購入できます


ロサンゼルスの心臓外科医と医療ジャーナリストの共著。著者の一人バーバラ・ホロヴィッツ医師は、 ふとしたきっかけでヒトと動物に共通する病気が存在することに気づく。それどころか、獣医師が昔から知っている病気のことを、 (ヒト)の医師たちが新発見の病気として学会発表したりしているのだ。彼女はそこで、人間と動物の病気を統一的に考える 「汎動物学(Zoobiquity)」という新しい観点を提案するにいたった。

その考え方からすれば、これまでの獣医学や動物学の研究成果がヒトの病気の理解に十分役立つ。 動物学にも、うつ病、性的不能、薬物中毒、肥満、いじめが存在し、別にそれは、(治療対象となる)病気ではなく、むしろ自然なことなのだ。

しかし多くの医師たちは、獣医師や動物学者を見下して、その意見に耳を貸さないしアドバイスを求めようとはしない。 日常的にまったく交流がないのだ。それが医学の進歩を妨げていると著者は鋭く指摘している。 ヒトの医療が最上位と根拠なく考えている高慢な医師たちに対し、こっそり獣医師たちが言っているという陰口にはニヤリとさせられた。 「医者?ああ、たった一種類の動物しか診られない人たちね。」(く)