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書評コーナー

季刊誌56号より

そこが知りたい在宅療養Q&A 実践と多職種連携を深めるために

そこが知りたい在宅療養Q&A

■日本ホスピス・在宅ケア研究会編集/診断と治療社
 ■ISBN-10: 4787821121
 ■ISBN-13: 978-4787821126
 ■B5版、232頁、価格2800 円(税別)


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その昔「ロレンツォのオイル」という映画を見た。難病に息子の治療薬を両親が図書館通いをして見つけだすという奇跡を描いた映画だったが、 そのことよりも、在宅で治療を続ける息子に手厚い訪問看護がついている姿が印象的だった。アメリカは家が広くていいな、看護師さんがこうやって毎日来てくれるんだ、 うらやましいな、と感じたものだった。考えてみればそうした手厚い在宅医療は多額の費用がかかるのだが、高額な医療費が当然のアメリカでは、 それでも安上がりだったのかもしれない。

本書は、在宅療養で起こり得る事態のうち、がん、脳血管障害、認知症のそれぞれのケースを想定して、留意点と解決策のヒントをくれる。 多職種にわたる執筆陣が協力して書いているせいか専門分野に偏りすぎて専門外のことは全然わからない他の解説書とは趣が違う。 理論的根拠を示したうえで、実際にそのとき現場でどうすればいいかという技法についても示されており、医療、介護を通じて 在宅にかかわるすべての人にとって参考になる実践の書と言えそうだ。

患者の立場からすると、ぜひ真のチーム医療を実現してもらい、昔あの映画で見たような豊かな在宅医療・介護を受けてみたいと思う。(く)