「いま医薬品を見直そう」 シリーズ

 

  

 

第51回 マイリスの有効性と安全性(危険性)(2)
      使用および販売を一旦中止すべき  

  

2000年2月25日

 

臨床試験での仮死や切迫仮死の増加傾向は動物実験での周産期死亡の増加と符号
 妊娠末期動物に膣坐剤として使用し、用量反応的に周産期死亡率が増加し、最低使用量の10mg/kg(人使用量とほぼ同等量)で周産期死亡率の増加傾向を認めた。さらに、器官形成期への腹腔内使用(静注注射に相当)で胎児死亡率の増加が認められている。なお、いずれの場合も最大無影響量(胎仔の非致死量)は求められていない。

非生理的高濃度の性ホルモンへの曝露で長期の悪影響の危険性が高い
 DHA−S(マイリス)は、注射剤あるいは膣坐剤として使用されると胎盤で速やかに代謝されて17βエストラジオール(E2)に変化し(エストリオール(E3)には変化しない)、胎児にも移行する。マイリス使用により、母体も胎児も、非生理的高濃度の(防御能力を越えた)プラステロン硫酸ナトリウムや17βエストラジオールに曝露されることになる。過去に流産防止の目的で使用されたエストロゲン剤ジエチルスチルベストロール(DES)により、胎内曝露された児に膣癌や生殖臓器・生殖機能の異常、免疫異常が生じている。この薬害の経験、動物の新生児期の一カ月間の発癌物質(特に17βエストラジオール(E2))への曝露は一生の曝露に相当するとの実験、エストロゲンを使用した長期臨床試験で癌の増加を認めたことなどからすれば、マイリスの使用によっても、曝露された児に対して、発がんや免疫異常、生殖機能など、長期の悪影響の危険性が高い。

妊娠37〜38週の正常妊婦に対してマイリスを投与する意味はなく、マイリスの存在意義はない
 本剤が難産(非自然分娩)を減少させることはなく、逆に、周産期障害を増加させる危険性が高く、さらに児への長期的悪影響(危険性)が強く示唆される。したがって、本剤は注射剤も坐剤も、使用および販売を一旦中止し、必要性、有効性、安全性について文献的な再検討をし直すべきである。

前回のQ7への答え
Q7…インフルエンザ脳症で死んだ子はだれもワクチンをしていなかったと言われる。やはり、ワクチンをしていなかったら脳症になりやすいのではないか。
A7…インフルエンザ脳症で死亡するのはほとんどが5歳以下の乳幼児。脳症で死んだ子と比較するべき相手は、インフルエンザにかかったが脳症にならなかった5歳以下の子。
 学童に集団接種していた時でもこの年齢(5歳以下の乳幼児)の子にはワクチンを接種してはいなかったし、義務接種をしなくなった4〜5年前も接種していない。ほとんど全員接種していないから、脳症で死亡した子が接種していなくとも不思議はない。
 だからワクチンをしていれば脳症にならないという根拠にはならない。現に最近、インフルエンザ予防接種を受けていた4歳の男児がインフルエンザ脳症で死亡したと報道された。5歳以下の幼児にも接種するようになったために、脳症になった子の中にも接種していた子が出るようになってきた。「インフルエンザ脳症で死んだ子はだれもワクチンをしていなかった」ことが、ワクチンの有効性の根拠にならないことは明らか。